誤・偽情報、デジタル影響工作、認知戦を知るうえで読むべき定期レポート (2) NewsGuardのReality Check

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NewsGuardはネットの信用格付け機関

NewsGuardはいわばWebサイトを中心にしたネット上の情報提供サービスの信用格付け機関となっている。そして、その信用度に関する情報はデータベースとして提供されている。このデーベースはAIの学習用としても提供されており、このデータベースで信頼できるとされたものを利用することで、AIは信頼できるデータから学習することができる。マイクロソフト社はCopilotの学習データにこのデータベースを利用している。
世界の894の図書館と提携し、図書館で利用するブラウザでNewsGuardの拡張機能を使えるようにした。Webサイトにアクセスする際、その信用度がわかるのだ。また、59のメディア・リテラシー・トレーニングを実施し、4,500人を教育した。イギリス政府のメディア・リテラシー・プログラムと連携し、啓発活動を行った。
同社はマイクロソフト社の支援を得て、このデータベースのシェアを広げている。ファクトチェックに変わる情報の信頼度確認手段として、同社の情報源の信用度の利用をほぼ独占的に拡大している(類似業者としてFGDIという会社もあるが)。

NewsGuardのReality Check

同社は活動の一環として、高い頻度で誤・偽情報に関するニュースを公開している。それがReality Checkだ。同社はそのビジネスの性格上、毎日、情報収集、監視、検知を行っており、その過程で発見したものをここで公開している。ほぼ毎日のように更新され、時々大きなニュースも流れるので情報収集に役立つだけでなく、同社の動向を確認する上でも重要だ。現在、ネット上にはあらゆるものに関する情報が流れ、ほとんどの企業がWebサイトを持っている。その意味では同社の信用格付けはすべての国家、メディ、企業、個人を対象としていることになる。
NewsGuard社のシェアが広がり、独占するということは、正しい情報の情報源を判定できる唯一の存在になるということを意味する。NewsGuard社の意向によって、世界中の生成AIやブラウザがあなたの会社の情報を怪しいと指摘し、アラート出すようになるのだ。

NewsGuard’s Reality Check https://www.newsguardrealitycheck.com

出典
Social Impact Report: 2023

https://www.newsguardtech.com/special-reports/social-impact-report-2023/

How AI Companies Can Use NewsGuard Trust Data for Text, Image, Video and Audio Generators
https://www.newsguardtech.com/insights/how-ai-companies-can-use-newsguard-trust-data-for-text-image-video-and-audio-generators/

New Steps to Combat Disinformation
https://blogs.microsoft.com/on-the-issues/2020/09/01/disinformation-deepfakes-newsguard-video-authenticator/

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この記事を書いた人

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
プロフィール https://ichida-kazuki.com
ニューズウィーク日本版コラム https://www.newsweekjapan.jp/ichida/
note https://note.com/ichi_twnovel
X(旧ツイッター) https://x.com/K_Ichida

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