安全なデジタル社会を作り、日本を前進させ続けるエルテス社
安全なデジタル社会を作り、日本を前進させ続けるエルテス社
2024年6月4日、エルテス社のオフィスに経営企画部の奥村高大氏をお訪ねした。名画「2001年宇宙の旅」を彷彿させるような近未来的な白いエントランスを抜けると、そこはファンタジーな壁画にあふれるオフィスだった。
「この壁画はなんでしょう?」と訊ねると、騎士Eltesが難敵と戦う様子を描いているという。さらによく見ると、それぞれの壁画にストーリーがついており、ちゃんと会社やサービスの紹介になっていた。
2004年創業、今年で20周年を迎えるエルテス社は「安全なデジタル社会をつくり、日本を前進させ続ける。」ことを社是とする企業だ。デジタルリスク事業を中心に、AIセキュリティ事業、DX推進事業、スマートシティ事業を展開している。
創業時はいわゆるSNSの炎上対策から始まったデジタルリスク事業は、現在は予防から事後対処、情報漏洩対策、社員教育まで含んだ包括的な企業のソーシャルリスク・ソリューションというべきものに進化している。今回のUNVEILの企業インタビューは、株式会社エルテスのデジタルリスク事業についておうかがいした。
エルテス社のデジタルリスク事業は大きくふたつの系統がある。ひとつはWebリスクモニタリングサービスを主力とするソーシャルリスク事業、もうひとつは社内に潜むリスクに対応するインターナルリスク事業だ。
ソーシャルリスク事業
Webリスクモニタリングサービスはモニタリング対象のSNSの炎上対策やWEBサービスなどを設定したキイワードで定常的にAIと人の目視で確認し、緊急対応が必要な情報を発見した際にはクライアント企業に通知し、クライシス対応を行う。なにもない場合でも、日次、月次での報告を送る。
国民の多くがSNSを使い、企業も顧客とのコミュニケーションやマーケティングに活用している時代なので、従業員の不適切な投稿、犯罪予告、異物混入などさまざまな問題が24時間365日発生する可能性がある。こうしたリスクに対応するサービスである。
個々のクライアントごとに予算と目的に合わせて最適なキイワードとモニタリング体制を提案し、実施している。
SNSで話題になりやすいBtoC、特に飲料、食品、外食の企業の利用が多いそうだ。ふだんはリスクを意識していない企業でも、同業が異物混入で炎上する事件が起きると、嫌でも意識せざるを得ない。そのせいでなにか炎上案件があると同業種の企業からの問合せが増える。導入の決め手になるのは、社長あるいは意識の高い役員が必要性に気づくことなので、同業他社の事件はそのきっかけになりやすいようだ。
企業や製品の性格によって、子会社、関係会社、フランチャイズなどもすべて対象にすることもある。
SNSのリスク対策には多くの企業が参入しているが、エルテス社の特徴は網羅的なサービスと、高品質だ。単なるモニタリングに留まらず、プロモーションで起用を検討しているタレントのSNS上での評判や過去の振る舞いを調査するタレントリスク調査、炎上した際の対処のコンサルティング、SNSリスクの社内研修、SNSに関する社内ルールの策定支援など多彩だ。柔軟な対応も特徴で、キイワードを臨機応変かつ迅速に変更することができる。
公開されている導入事例を読むと、リスクのモニタリングとして活用するだけでなく、ポジティブな投稿、ニュートラルな投稿などあらゆる投稿から製品やサービスを見直すヒントや気づきを得ている企業も多い。また、AIと目視による確認の信頼性が高く評価されていることがわかる。
一口にモニタリングといっても、SNSをキイワードで検索するだけの安価なものもある。導入は手軽だが、運用は自社でやらねばならず、問題を発見した時に対処も自社である。データ収集部分をアウトソーシングしているだけになる。
監視までのアウトソーシングを請け負うBPOサービスもある。この場合は監視まではやってくれるものの、対処は自社で行うことになる。
エルテス社の場合は、包括的なサービスの中から自社の状況に合わせたサービスを組み合わせて利用できるようになっている。また、AIと人の目視の両方でチェックしているため精度も高い。投稿数の推移の変化を分析するといったことも包括的なサービスならではと言える。
気になるのはお値段だが、月40万円くらいからスタートできる。データ収集のみのモニタリングサービスに比べると高くなるが、SNSリスク回避のために人を一人雇うことに比べれば安い。また、社員をひとり雇うよりは、経験のある会社にアウトソーシングした方が安心感があるし、急病や休暇でモニタリングが中断されることもない。
インターナルリスク事業
インターナルリスクというと、難しそうに聞こえるが、現在のサービスはデータ・情報の持ちだしの早期発見である。IT資産管理ツール、勤怠管理サービスなどのログデータを横断的に分析することでデータ持ちだしなどを検知する。
現在では常時27万人のデータを解析し、データ持ちだし検知を発見するまでの時間は30時間だ。一般的な発見までの時間が280日(2020年情報漏えい時に発生するコストに関する調査、IBMSecurity、2020年8月25日)であることを考えるとかなり早い。この280日というのは持ち出されたデータが第三者の手に渡るなどして、悪用されたりしてそこで漏洩がわかるまでの時間である。30時間で検知できれば第三者にわたる前に対応できる可能性が高まる。実際、サービス導入後に漏洩による被害は1件も発生しないという(危険な持ちだし検知は5件、意図しない持ちだし件数は27件あった)。
こちらのサービスの特徴は確実に漏洩のリスクを減らすことにある。300人程度の企業の場合、60万円くらいが費用の目安になる。お値段はそこそこだが、専門の社員を雇うより精度が高いことを考えると許容できる必要経費と言えるだろう。