ファクトチェックはメディア贔屓のトラフィックを稼ぐネタなのか?

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コロンビア大学のColumbia Journalism Reviewに、メディアファクトチェックに関する記事
「Fact-checking into oblivion, again」(2024年6月10日、FEVEN MERID)が掲載された。

2022年以降、伸び悩んでいたファクトチェックがアメリカ大統領選をきっかけに活性化している。しかし、真実を伝えて誤った信念をあらためさせるためというよりは、減少しつつあるメディア贔屓の人たちのトラフィックを稼ぐための手段にすぎないように見える。

2015年には世界中で64件のファクトチェックプロジェクトが活動しており、2021年には約400件に増加したものの、頭打ちになっているという。おそらく成果が出ていないことが原因だろう。ここにきて2024年のアメリカ大統領選を控えて、ふたたび注目が集まっている。CBS News Confirmed、cripps Newsなど新しいプロジェクトが’立ち上がっている。
最近のファクトチェックについて、オレゴン大学のデジタル・プラットフォームとメディア倫理の専門家であるホイットニー・フィリップス(Whitney Phillips)教授と、ブラウン大学Information Futures Labのクレア・ワードル(Claire Wardle)のコメントを紹介しながら課題を整理している。

そもそも今のようなファクトチェックのやり方が陰謀論や誤・偽情報を信じている人の考え方を変える可能性が低いことはわかっている。脅威を誇張しすぎることは、不要な警戒心を煽ることになり、逆効果になる可能性もある。
それでもメディアがファクトチェックをテーマにした企画に熱心なのは、「選挙の年だから注目を集めて、トラフィックを稼ぐチャンス」と考えているようにみえてしまう。
スクリップスとCBSは、ファクトチェックの取り組みから生まれた作品をプラットフォームで配信する計画を立てている。これは、特に若い世代の間でブランド認知度を高めるだろう。こういう取り組みは、メディア贔屓の人たちにプロセスを理解してもらう役には立つ可能性がある。しかし、メディア贔屓ではない人にはなにもアピールしないのだ。

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