トランプの危険な「ほしいものリスト」Project2025

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「Project2025」を聞いたことがあるだろうか? BBCがトランプの「ほしいものリスト」と名付けもので、保守派のシンクタンクHeritage財団がトランプが大統領になった時のために作った提言である。1,000ページを超える提言には、数千人の公務員の解雇、大統領の権限拡大、いくつもの連邦政府機関の解体そして大幅な減税などが含まれている。
司法省などの連邦機関を大統領の直轄にし、FBIの改革、気候温暖化対策の大幅な削減など、ほとんどクーデターに近い内容までも盛り込まれていた。
トランプ当選の可能性が高まってくるにつれて、民主党を始めとするリベラルたちはこの提言の脅威を身近に感じ始めている。

その矢先、より具体的な内容の「Project Sovereignty 2025」が公開された。このレポートを作成したAAF(American Accountability Foundation)は、2020年に設立された団体で、複数の有力な米右派団体から資金援助を受けている保守派組織だ。彼らは左派の秘密を暴いて責任を追及する組織として、いわゆる「ディープステートと戦う」立場にある(一部のメディアでは「保守派の闇金団体」「人格攻撃/中傷製造器」などとも表現されている)。

このAAFが先日、「Project Sovereignty 2025」と呼ばれる新たな作戦をプレスリリースで発表した。この計画は「未来の保守派大統領の政策を妨害しかねない政府職員」を特定し、非難することを目的としている。AAFはソーシャルメディアの投稿などから職員の情報をまとめる予定で、まずは国土安全保障省の職員からリストの作成に取りかかるという。

当然ながら政府職員や労働組合の間では、この計画に対する懸念が広がっている。米国最大の連邦職員組合The American Federation of Government Employees(米国公務員連盟)は、Project Sovereignty 2025が「連邦職員に恐怖を植え付けようとする脅迫戦術」であり「大統領に対する忠誠のテスト」だと表現した。

また一部の批評家は、マッカーシズムによる赤狩りのブラックリスト戦略とAAFの計画との類似性について指摘している。ジョージタウン大学の政治学者ドナルド・モイニハン氏は、その比較が妥当なものであるとし、次のようにコメントした。「AAFの計画には、『党や党のイデオロギーに忠誠心を示さない政府関係者への深い敵意』と『彼らを処罰したいという願望』が浮き彫りにされている」

AAFの想像している次期大統領がトランプであることは疑いようもないだろう。「トランプ政権に反発する不届きな職員との戦い」のために、彼らが現段階からブラックリストを作成し、攻撃することは何ら不自然ではない。しかし彼らの本当の目的は、名指しで攻撃されることを恐れた政府職員たちを萎縮させ黙らせること、そして市民に対してディープステートへの敵対心を煽ることなのかもしれない。

米国では内戦を描いた映画がヒットしているそうだが、このままだと映画以上の想像を超えた事態が起きかねない。

Project2025 https://www.project2025.org
BBCの報道 https://www.bbc.com/news/articles/c977njnvq2do
ABCの報道 https://abcnews.go.com/US/wireStory/conservative-leading-pro-trump-project-2025-suggests-new-111655303
The Guardianの報道 https://www.theguardian.com/us-news/article/2024/jun/30/trump-loyalists-deep-state-blacklist-american-accountability-foundation

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