ゼレンスキーの妻がブガッティを購入したというデマがグーグルトップに

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「ゼレンスキー大統領の妻オレナ・ゼレンスカが、米国から受けた援助金でブガッティの自動車を購入した」というロシア発のフェイクニュースが、瞬く間にインターネットで広まった。それは24時間と待たずにトレンドトピックとなり、Googleの検索結果のトップに表示されるまでになった。

このフェイクニュースが最初に登場したのは2024年7月1日、偽のフランス情報サイト「Vérité Cachée」だった。「大統領夫人が新型ブガッティ・トゥールビヨンの最初のオーナーになった」「彼女は6月に夫とパリを訪れた際、480万ドルのブガッティの新車を注文した」という内容の記事で、ディーラーの従業員だと主張する男の動画も掲載された。

記事や動画が完全に捏造されたものだったにも関わらず、このフェイク情報が爆発的に素早く拡散した経緯について、Wiredは7月9日の記事で詳しく説明している。

同誌によると、まず先述の偽サイト「Vérité Cachée」は、ロシア発のプロパガンダや嘘を欧州や米国へ届けるネットワークの一部として機能しており、他にも同様のウェブサイトが複数存在する。これらのサイトは生成AIで記事を作成し、スクレイピングし、管理する形で、偽のジャーナリストによる記事を何千も公開している。

Vérité Cachéeに掲載された「大統領夫人のブガッティ購入」というフェイクニュースは、すぐにロシアの数十のメディアで取り上げられた。それらの記事は数十万、数百万人のフォロワーがいる複数の(親ロシア派の)Telegramチャンネルで拡散された。悪名高きロシアのフェイク情報ネットワークDoppelgangerも活動に関わっていたという。

この時点で、ブガッティはニュースを否定する声明を発表したが、それでも偽情報はロシア支持派たちのX(旧Twitter)アカウントで盛んにシェアされ、やがて親ロシア・親トランプのトロールとして知られるJackson Hinkleに取り上げられた。260万人のフォロワー数を誇る彼は、このニュースをシェアする際、「米国の納税者たちの金が」車の購入に使われたというフェイク情報を追加した。

そして英語のウェブサイトが、Hinkleたちの投稿やVérité Cachéeの記事を引用しながら、大統領夫人とブガッティの話題を掲載しはじめた。その結果、Googleで「ゼレンスキー ブガッティ」を検索すると、MSNニュースへのリンクが提示されるようになった(現在、記事は削除されたようだ)。それはAl Bawabaによる記事で「複数のソーシャルメディアユーザー」と「噂話」を引用したものだった。その後、ニューズウィークなどがデマであることを報じた

これほど短時間でフェイクニュースが拡散され、多くの人が簡単に信頼してしまった状況について、Wiredは現在のプラットフォームが「選挙関連の嘘を抑制する責任」を放棄する傾向が強まっていることを指摘している。さらに偽情報を拡散する側もAI活用のスキルを磨いていることも相まって「オンラインで人々を騙すことはかつてないほど容易になっている」と同誌は記した。

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