アルカイダやISがTikTokの「オリジナルサウンド」を使ってメッセージを拡散
国際問題の解決に向けた戦略を提供しているシンクタンクISD(Institute for Strategic Dialogue)は先日、テロリストの指導者たちの音声コンテンツがTikTok上で視聴されている実態を調査し、その研究結果を報告した。
その報告によると、TikTok上ではISやアルカイダの指導者たちによる演説を簡単に見つけることができた。これらの動画はもちろん「暴力や憎悪を煽る団体や個人」に関するガイドラインに違反している。しかしTikTokがオリジナルの違反動画を削除しても、それらの音声は他のユーザーのコンテンツを通じて大量に生き残り続けていた。その大きな要因となっていたのが、TikTokの「オリジナルサウンド」の機能だ。
ISDが6月16日〜18日にかけてTikTokを調査したところ、まずアルカイダやISの思想家たちの名前をランダムに検索するだけで、彼らが出演している動画コンテンツは55本見つけることができた。それらの動画の60%に「オリジナルサウンド」(他のクリエイターが自身の動画でも使用できる機能)が利用されており、先に挙げた55本以外の230本のコンテンツで同じ音声が66万回以上再生されていた。
オリジナルサウンドを使ってテロリスト発のコンテンツを広めようとするユーザーたちは、動画に無関係なタイトルや無害なタイトルをつけて「そのような内容だと知らないままアクセスしたユーザー」への訴求力を高めているケースが見られた。それとは反対に、「真実の演説」などのタイトルをつけたり、あるいはオリジナルサウンドの名前を元の投稿者の名前にしたりすることで、元の動画が削除された場合でも情報を拡散できるように(なおかつ自身の動画はTikTokから削除されにくいように)活動しているケースも見られた。
ISDは以下のように語っている。「この研究は、TikTokのオリジナルサウンド機能が、テロリストたちのコンテンツに有益であることを明確に示している」「この機能により(テロリストの指導者たちが)現実世界で死亡しても、あるいは(動画が)削除されても、その扇動や暴力行為の呼びかけは生き残ってしまう」
またISDは、TikTokのアルゴリズムが「ユーザーの好みや行動に基づいて違反コンテンツを推奨すること」も危惧している。この研究で利用されたアカウントには、研究者が見たこともなかった暴力的な過激主義の動画(テロリストの演説、ネオナチによる動画など)がサジェストされたという。