ビッグテックにハブられるEU

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EUはGDPRやDSA、そしてAIと規制強化を進めるEUはある意味民主主義的価値感を体現しているとも言えるが、細かいことで他人に文句を言う優等生が孤立するようにEUもじょじょに孤立してゆくかもしれない。
ビッグテックはEUから離れることを考え始めている。落ちぶれたとはいえEUの市場はいまでも失うには大きすぎる。しかし、新サービスあるいは一部サービスに限ってみたらどうだろう? 新サービスを始める時は最初からEUを除外して計画を立てればいい。既存の一部サービスを減らすくらいなら影響は限定的だ。規制への対応にかかるコストや罰金を勘案して決めればいい。

国民が納得しないだけではない。SNSを始めとするアメリカのサービスを利用できなくなることは、産業界、外交、さまざまな面で影響が大きい。
AppleやMetaがEUでAI関連サービスの提供を見おくったことを報じたAxiosの記事はEUの前途が多難であると締めくくっていた。全く同感だ。アメリカのビッグテックが離れた後は、Telegramなど極右や差別主義者が大好きな中小規模のSNSが広がる可能性は高い(EUの規制は大規模中心)。アメリカのビッグテックがいなくなったら都合よくEU内から新しい巨大テック企業が生まれるというのは、新味も実効性もない政策に「異次元の」とつければ国民から評価されると考えるくらい楽観的だ。ふつうに考えれば状況は悪化する。

ビッグテックは民主主義的規範を破ったロシアから一斉に撤退したが、民主主義的規範を守ろうとしたEUもまたビッグテックから離反されるというのは皮肉だ。それを日本政府が真似しているというのはけっこう厳しいものがある。

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