アメリカのリベラル、民主党が拡散する誤・偽情報
誤・偽情報や陰謀論といえば共和党が頭に浮かぶが、陰謀論者として有名なロバート・F・ケネディ・ジュニアが以前いた民主党も負けていない。
現在、米国で大きな物議を醸している「Project 2025」について、米民主党やハリスの支持者たちが誤情報/偽情報を拡散していることが判明した。
ヘリテージ財団(米国の保守派シンクタンク)が発表した「Project 2025」は、簡潔に言えば「米国の未来を形成する長期的な戦略」で、つまりはトランプが次期大統領になったときのための包括的な政策アジェンダを示したものだ。
明確に保守的/排他的で、合法性が疑問視される点もあり、さらに左派や中道派を大いに刺激する要素が盛り込まれているため(公務員の大量削減、経口妊娠中絶薬ミフェプリストンの承認撤回、所得税の累進性低下など)、その内容に反発している米国市民は多い。NewsGuardの分析によると、現在ウェブサイトやSNSには「Project 2025」に関する言及が1240万以上あり、そのコメントの多くは非常に批判的だという。
ハリスを含めた米民主党、および支持者たちは「Project 2025」の問題を強い口調で批判してきた。昨今ではトランプも「自分は関係ない、何も知らない」と主張する形で、Project 2025に関する議論を避けようとしている(実際には有力なトランプ支持者の多くが関与しているのだが)。
問題は、民主党の追求が「事実をベースとした批判」に留まらなかったことだ。つまり民主党やハリスの支持者たち、さらにハリス本人までが「Project 2025」の問題を大げさに印象付けるような誤情報の拡散に貢献している(あるいは意図的にデマを拡散している可能性もある)。
NewsGuardが指摘した偽情報/誤情報と、それに対するファクトチェックは以下のとおり。
1.Project 2025は社会保障の削減、または廃止を提案している
→実際には、社会保障制度の変更案は記載されていない。
2.Project 2025はイスラム教徒の入国禁止を提案している
→実際にはイスラム教を含め、特定の宗教や民族を対象とした入国禁止に言及していない。
3.Project 2025は女性に対し、月経周期を記録する「生理パスポート」の携帯の義務づけを提案している。
→実際には月経に言及していない。この偽情報は、風刺サイトから流出したものと考えられている。
4.Project 2025には「働く父親、彼と結婚した専業主婦の母親、そして彼らの子供たちで形成される家族だけが正当な家族である」と書かれている
→正確には「結婚した母親、父親、そして子供たちで形成される家族は、秩序ある国家と健全な社会の基盤である」と書かれており、母親が専業主婦になるべきだとは述べられていない。
これらの中でNewsGuardは、特に「社会保障」に関する偽情報を問題視している。何しろハリス副大統領が7月24日の演説で「それを読めば、ドナルド・トランプが社会保障とメディケアの削減を求めていることが分かるでしょう」と述べており、その発言は彼女の支持者たちによってオンラインで広く拡散されたからだ。
さらにハリスは7月11日の選挙イベントでも「Project 2025には社会保障を削減する計画が含まれている」と述べた。NewsGuardはハリス陣営の幹部に対し、この発言について説明するよう要請したが(9回行ったと記されている)、いまのところ応答はないようだ。