ロシアに踊らされる米政府、調査機関、メディア 罠に引きずり込まれる日本政府
誤・偽情報を広めているのは米当局、調査機関、メディア
米大統領選が近づく中、トランプ暗殺未遂事件やハリスが大統領候補になるなど事件が相次いでいる。中露イランの選挙干渉を恐れる米当局や調査機関、メディアは事件に過敏に反応し、具体的なものがほとんどない状態で、ロシアの干渉についてアナウンスしており、パーセプション・ハッキングや警戒主義を米全土に広めている。ロシアがちょっとした情報発信をするだけで、米当局や調査機関、メディアが過剰に反応し、広めてくれる状態となっている。
パーセプション・ハッキングは、認知戦やデジタル影響工作が行われたことを広めることで、認知戦やデジタル影響工作の直接的効果はなくても、人々が情報に対して過剰に疑うようになり、情報やメディアへの信頼性を全体的に低下させることを指す。警戒主義は、過剰に、誤・偽情報、認知戦、デジタル影響工作の脅威を伝えることを指し、結果として情報やメディアへの信頼性が全体的に低下する。
米選挙対策で重要な役割を担っている米国家情報長官は7月上旬の時点で、最新情報を公開した。中露イランを主たる敵対組織としてあげて、動向を整理していたが、その内容はほとんど2022年の中間選挙の際の分析内容と変わらなかった。情報関係者に取材したThe Recordも同様の記事を掲載していた。
続いて7月下旬にも米国家情報長官は最新情報を公開している。こちらもおおまかな動向を伝えるものとなっている。わかりやすく言うと、トランプ暗殺未遂事件やハリスが大統領候補になったことに関連するロシアの動きをつかんでいない。
The Recordの取材に対しても現時点ではなにもわかっていないと答えている。
この間、以前の記事でお伝えしたようにメディアや調査機関はロシアの干渉を指摘し、脅威への警戒を訴えている。
警戒主義に陥った米国関係者、引きずりこまれる日本
この状況は、ロシアが大したことをしなくても、警戒主義に陥った米当局、調査機関、メディアが過大にアナウンスし、パーセプション・ハッキングを米全土に仕掛けてくれていることを意味している。何度か、デジタル影響工作は第2ステージに入っているとお伝えしているが、米国は世界にさきがけて、第2ステージど真ん中に入ってしまったらしい。
気になるのは米国が、この罠に日本も引きずり込もうとしていることだ。先日公開された戦略国際問題研究所(CSIS)の「Combating Disinformation An Agenda for U.S.-Japan Cooperation」(Christopher B. Johnstone、 Leah Klaas)には、最近の日本政府の誤・偽情報対策ブームが米国の要請によるものであることがよくわかるものとなっている。日米協力と言えばその通りだが、失敗している国に同調してひどい目に遭う必要はない。