トランプ暗殺未遂事件直後に親中派ネットワークが活発に活動
今年7月にトランプ暗殺未遂事件が発生したのち、X(旧Twitter)では、人為的に作られた親中派の偽アカウントのネットワークが、銃撃事件に関するデマや陰謀論を煽る投稿を盛んに行った。そしてバイデンが大統領選から撤退したあと、そのネットワークはカマラ・ハリスを貶す内容の映像を拡散しながら「バイデン大統領が撤退したあとの米国の見通しは暗い」と主張している。
このネットワークの活動について調査したDFRLabの7月30日の記事によると、これらのアカウントはトランプ暗殺未遂事件が発生した後、「トランプが暗殺された」というデマを拡散し、また「『彼ら』がトランプの暗殺を試みたのだ」という漠然とした表現で陰謀論を煽った。他にも米国の銃規制政策を批判したり、内戦の可能性を示唆したり、トランプとバイデンの健康状態に言及したり、元下院議長ナンシー・ペロシの発言を事件に結びつけたりもしていたという。
そしてバイデンが大統領選から撤退した後、そのネットワークは「大統領選の勝者を決定するのはイスラエルだ」と示唆するミームや、ハリスの笑い声を編集した動画などを拡散しはじめた。
このネットワークは以前から、米国の政治的分断を煽る話題(人種差別、警察の過剰な暴力、銃による暴力、フェンタニルの乱用問題、ホームレス問題、大統領選、ウクライナへの関与、ガザ地区におけるイスラエルへの支援、ジェンダーのアイデンティティなど)を扱ってきた。2023年に中国が大々的に「福島原発の汚染水放出」の話題を広めた際にも、このネットワークが拡散に貢献していたという。ここで利用されている偽の中国アカウントは、オリジナルコンテンツを投稿する発信元として機能しており、それをボットアカウントが拡散している。
DFRLabは、このネットワークと「Spamouflage Dragon」(悪名高い中国の大規模な世論操作活動)」との類似点を指摘し、またSpamouflageに用いられたものと同一のAI生成画像が使用されていることを指摘した。こういった拡散のアプローチは、中国共産党のアプローチと同じで、他国を「カオスで統制が取れていない、根本的に欠陥があるもの」と貶めながら、国際社会における中国のポジティブな印象を提供するものだ、とDFRLabは記している。
DFRLabが特定した具体的な偽アカウントの数々や、拡散に利用された画像のスクリーンショットなど、より詳細な情報はDFRLabの記事で見ることができる。