パリ五輪を貶めるロシアの活動

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2024年のパリ五輪が世界中の注目を集める中、ロシアの工作活動家や親ロシア派のインフルエンサーたちが、ホスト国のフランスを貶める活動を強化している。

ウクライナを支援している欧州国の中でも、特に国際的な影響力の大きいフランスは、ロシアのデジタル工作作戦の主要な標的の一つだ。フランスの選挙で極右政党を有利にしようとロシアが暗躍していた話題も記憶に新しい。この活動を分析したDFRLabが、今回の「五輪を狙った活動」についても8月1日の記事で詳しく説明している。

今回の活動で拡散されている偽情報は「オリンピック施設の脆弱さ」「セーヌ川で発生した魚の大量死事件」「パリのホテルで発見された感染菌」「パリにおける医師不足」など多様なトピックとなっている。中には「謎の巨大な虫(人間よりも大きい)がパリの市民を襲っている」などといった、非現実的な内容のAI生成画像も存在する。

それらの偽情報の多くは、真っ当な報道機関から発信されたニュースになりすます形で作成された。ここで偽装されたのはフランスの主要メディア(France 24やLe Mondeなど)だけではない。たとえばインドでは、あたかもFree Press Journal(インドで最も歴史のある報道機関のひとつ)が「セーヌ川の水質の悪さはガンジス川よりも危険である」と報じているかのような偽映像が作成され、拡散された。先述の荒唐無稽な「巨大昆虫」のフェイク画像ですら、BBCニュースのスクリーンショットであるかのように作られている。

また今回の活動も多言語に対応しているだけでなく、TelegramチャンネルやX(旧Twitter)など複数のプラットフォームをまたいで偽情報を拡散する。Xでは、フランスの大手メディアの公式アカウントを模した偽アカウントが虚偽のニュースをリツイートしている。そして多くのアカウントは、この話題をトレンド入りさせるために「#JOPourris(ボロボロに腐った五輪)」というハッシュタグを使用しながら、さまざまな方向からパリ五輪を中傷し、軽蔑するような書き込みを行っている。

より過激な例では、ハマスのメンバーを名乗る人物が『パリ五輪の開催中に起こりえる暴力行為については我々が責任を負う』と主張している動画が拡散された。しかし研究者たちは、この動画の様々なスタイルがハマス発の動画とは異なっていることに気づいた。また動画を投稿したアカウントはハマスの公式チャンネルではなく、数か月前に作成されてからほとんど活動していないアカウントだった(後に凍結されている)。

ここでは紹介しきれないほど多種多様な偽情報のトピックや、実際の拡散に使われた画像などは、DFRLabのレポートで詳しく見ることができる。しかし残念ながら、日本語でも同様の活動があったのかどうかについては触れられていない。

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