「あの愚か者は唯一のチャンスを逃した」トランプ暗殺についてのオバマのディープフェイク音声が拡散

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ドナルド・トランプ銃撃事件は民主党が計画したものだった、と元米大統領のバラク・オバマが示唆しているディープフェイク音声(AI生成による音声データ)を、親ロシア派のネットワークが拡散していたことをNewsGuardが発見した。

その音声データは、オバマと民主党のデビッド・アクセルロッドのプライベートな会話の録音を装っていた。「彼(バイデン)は精神的な衰えが原因で去るのではない。彼と彼のチームは、トランプを排除できなかったから追い出されたのだ」「あの愚か者たちは、唯一のチャンスを逃した。もしも彼らがトランプを追いやることができれば、共和党のどんな候補者が相手でも勝利は確実だっただろう」とオバマがアクセルロッドに語っている、という内容だった。

このフェイク音声が最初に公開されたのは、8月1日にDeepStateLeaks.orgという無名のウェブサイトの記事だったと考えられている。その記事の中では「匿名の民主党全国委員会の一員から提供された音声」だと主張されていた。

そして8月6日、米国のメディアを装っている親ロシア派のメディアネットワークが投稿した一連のフェイク記事の中で、問題の音声が引用された。このメディアネットワークはジョン・マーク・ドゥーガンによるものだった。ドゥーガンは元フロリダ州の副保安官だが、刑事告発を受けてロシアに亡命している。現在ではロシアでジャーナリストを名乗り、国営テレビ等でプロパガンダを拡散しているようだ。NewsGuardのReality Checkによると、最近のドゥーガンは選挙に関する偽情報の戦略を強化しているという。

DeepStateLeaks.orgは2024年7月18日に匿名でドメイン登録されている。運営者は不明だが、そのウェブサイトはドゥーガンのネットワークにある他のウェブサイトと非常に似ているようだ。ともあれ、このフェイク音声は「衝撃的なリーク」という扱いで、ドゥーガンのニュースネットワークの外(X、Telegram、Facebook、LinkedIn、ロシアのソーシャルフォーラムVK、LiveJournal、Dzen、Reddit、QAnonフォーラム、アゼルバイジャン支持派のウェブサイトなど)へ拡散し、それは英語、ロシア語、オランダ語、ポーランド語、フランス語、ブルガリア語など複数の言語で共有されることになった。またロシア国営のテレビ番組の司会者も、「リークした通話の音声で、トランプ暗殺未遂の背後に民主党の指導部がいることが明らかになった」とTelegramで述べた。

なお、複数のAI検出ツールやデジタル・フォレンジック専門家の調査により、この音声がAI生成であることはほぼ疑いようもないと確認されている。当然ながらオバマの広報担当者も、その音声が偽物だと声明を出している。

ドゥーガンと、ローカルメディアを装った偽情報のニュースサイトネットワークに関しては、以前にNewsGuardが掲載したレポートに詳しく記されている。

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