米国選挙へのイランの干渉についてODNI、FBI、CISAが共同声明
「イランが米国の選挙に影響を及ぼそうとしている」として、ODNI(米国家情報長官室)、FBI(米連邦捜査局)、CISA(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)は2024年8月21日、イランの活動に関する共同声明を発表した。
この声明によると、イランは社会的緊張を悪用して、米国の選挙に関する機密情報へのアクセスを試みるサイバー作戦など様々な手段を展開してきた。イランの影響工作には、米国の選挙プロセスや民主的機関を標的とした攻撃、政治活動への干渉が含まれており、トランプ前大統領の選挙活動への妨害活動も報告されている。
このような活動は新しいものではなく、過去にイランやロシアが採用してきた戦術と同様だ、と声明文は述べている。そしてFBIとCISAは、選挙のインフラやキャンペーン関係者に対し、疑わしい活動やサイバーインシデントを報告するよう呼びかけている。また米国のオンラインのプラットフォームの悪用を阻止するため、プラットフォーム自身がセキュリティを高めることの必要性も説いており、具体的なアドバイス(強固なパスワードの利用など)をいくつか提示している。声明の全文はここで読むことができる。
すでに日本の大手メディアでも報じられているとおり、つい先日の16日には、OpenAIがイランの世論工作集団「Storm-2035」のアカウントを停止したと発表したばかりだ。
同社の発表によれば、Storm-2035は複数のトピック(米大統領選挙、ガザ地区での紛争、五輪におけるイスラエルの存在など)に関するコンテンツを、OpenAIの対話型AI「ChatGPT」で生成し、シェアしていた。特定に至ったアカウントはX(旧Twitter)が12件、Instagramが1件で、これらは保守派と革新派の両方の立場を装っていたという。
同社によれば、Storm-2035の工作活動は他のユーザーに対し、ほとんど効果的な影響を及ぼさなかったようだ。ともあれOpenAIは「生成型AIの悪用を防ぐために」こういった活動を引き続き検知し、また調査結果を公表することで透明性を高めていく、との意向を述べている。
すでにINODS UNVEILで報じたように今月初旬にはマイクロソフト脅威分析センターがイランのデジタル影響工作に関するレポートを公開しており、Storm-2035はそこにも含まれていた。Storm-2035以外にも複数のグループの活動が報告されており、今回の米国選挙ではイランの活動が目立っている。