英暴動は極右の結束を強めた 新しい形の暴力への対抗策をISDが提案

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ISDの上級研究員Julia Ebnerが、「PROSPECT」の独占インタビューに応じ、サウスポートの集団刺傷事件後の暴動がもたらした影響について語った。

2024年8月の英国で発生した集団刺傷事件後の暴動では数百人が逮捕され、一部の暴徒は実刑判決を受けた。この状況が「強い集団力学」を生んでいると彼女は指摘している。抗議者たちが、強い感情を引き起こす体験を共にしたことで、「個人とグループのアイデンティティの融合」が進行している。つまり、彼らの暴走を戒めるための厳しい法的措置が、逆に極右派の結束を強化した恐れがある、という警告だ。

「この暴動は、これまで分裂していた英国の極右をまとめる役割を果たした」と彼女は語る。これまでの英国の極右派は、イングランド防衛同盟(EDL、反イスラム団体)やパトリオティック・オルタナティブ(PA、白人至上主義のヘイトグループ)、フーリガン(サッカーの試合会場の内外で乱闘騒ぎや暴力事件を起こす熱狂的な観衆)、あるいはローランス・フォックスやアンドリュー・テイト(共に有名な極右派インフルエンサー)の支持者など、異なる主張を持った派閥に分かれていた。

しかし暴動後の彼らは、共通の敵に対する怒りを分かち合って結束している、と彼女は説明した。「(いまの)極右派にとっては、彼ら(移民たち)がイスラム教徒であろうと、キリスト教徒であろうと、もはや肌の色さえ違えば、それは大して重要なことではなくなった」

彼女はオンラインのプラットフォームが与えた影響も指摘しており、とりわけXに関しては、デマの拡散に対処する姿勢が「手ぬるい」というだけの問題ではないと語っている。マスクによる買収以降、Xではヘイトスピーチで凍結されていたインフルエンサーたちが復活した。彼らの言説が受け入れられているプラットフォームは、極右派の人々に「味方を見つけた」という心理的な影響を与えている、と彼女は語った。

「彼ら(Xを利用している極右派)は、自分たちのイデオロギーや活動が、初めて正常化され正当化されたと感じている。これは非常に危険なことだ。それは彼らをますます勇気づけるだけでなく、『本当は他の(X以外の)プラットフォームのほうが政治的に偏っていたのかもしれない』と思わせるからだ」。彼女の独占インタビューの全文は、ここで読むことができる。

サウスポート事件後の英国では、極右の過激主義に対するポリシーが見直されようとしている。しかしISDは8月15日のブログで「進化を続ける暴力的な過激主義の生態系」に対応するには、アップデートされた対策が必要であると説いた。

曖昧で分散的な、現在の極右の性質を反映しなければならない。それはグループ中心型のモデルから進化している」「イデオロギーを超えた社会的孤立、コミュニティの探求、一般的な暴力の支持など、多様な過激主義の動因に対応しなければならない」「暴力的過激主義、標的に向けたヘイト、オンラインの誤情報のハイブリッド化が進行している状況に対応しなければならない」

ISDが提案した「サウスポート事件後の英国極右」に対するアプローチ(かなり長い)については、ここで全文を読むことができる。

ISD
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