グーグル広告で収益をあげるインドのデマサイト
ベリングキャットは2024年8月29日にインドでグーグル広告で収益をあげているデマサイトに関する記事を掲載した。インド北東部のアッサム州を襲った洪水について陰謀論を発信していたことで4名が逮捕されている。デマはこの被害が人為的なものであり、宗教的な理由によるものとしていた。
記事によると、21のメディアを含む53のユニークなウェブサイトが、こうしたデマを繰り返す91の記事が確認された。このうち44サイトが、グーグルのAdSenseを通じて広告を掲載することで、収益を得ていた
インドではデマがマイノリティを標的にし、主流派ヒンドゥー教徒の不安を煽るために頻繁に利用されている。特に幅広い層にリーチするメディアを通じてデマが拡散されると、無実の人々の逮捕や特定のグループに対する憎悪の助長など、現実世界に影響を及ぼす可能性がある。
グーグルは以前からデマや陰謀論への資金提供者
もちろんグーグルは表向き、こうしたヘイトやデマは排除する方針だが、実際にはそうはなっていない。それどころかこの記事を書いた執筆者が、インドで最も著名な極右ウェブサイトの記事に広告が掲載されていると指摘した後も、広告を掲載し続けたという。
グーグルがネット上で極右、陰謀論、差別を広告を配信して収益にしており、収益の一部を還元することでこうしたサイトを育てていることはコロナ禍でデマと陰謀論の市場が拡大したことでも明らかだ。他のアドネットワークも同様に広告を出稿しているが、最大の資金提供者はグーグルだ。
もちろん、広告主は広告出稿したくないと考えており、そうした広告主の広告が不適切なサイトに掲載されないためのサービスとしてGDIやNewsGuardがある。しかし、記事によれば大きな効果は出ていないようだ。
余談であるが、インドの偽・誤情報、デジタル影響工作などについて公になる情報はきわめて限られている。Metaは四半期脅威レポートで、テイクダウンしてもそれをレポートに掲載することで従業員の安全が危険にさらされる可能性がある場合は掲載しないことがあると書いて、インドに関する記載を掲載しなくなった(Metaはインドと名指ししていないが、その後の報道などから明らかになった)。ベリングキャットの今回の記事はインド政府の仕掛けているデジタル影響工作については触れていないが、国連を中心にインドのデジタル影響工作は拡大しているという指摘もあり、要注意だ。