米大統領選を前にロシアの選挙干渉に制裁 危ういバイデンの選択

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対象となった作戦と制裁の内容

2024年9月4日、バイデン政権は米大統領選に影響力を行使しようとするロシアの作戦を暴露し、制裁を加えた。
暴露あるいは制裁の対象となった作戦には下記のようなものがあった。

・ロシアのプロパガンダ・メディアRTの職員2名(コスティアンティン・カラシニコフ、エレーナ・アファナシエワ)が米国内の2人(Lauren Chen、Liam Donovan=Blaze Media社のチーフエグゼクティブ、ふたりは夫婦だった)に1,000万ドルを与えてテネシー州にTenet Media社を設立させた。米国のインフルエンサーに資金提供して、「トランプを推し、親ロシアの人物を支持するよう」コンテンツを発信、拡散させていた。2千本の動画が1,600万回再生された。
中には毎週4本の動画を月額40万ドルと契約金10万ドルで請け負ったインフルエンサーいた。協力した著名人やインフルエンサーは、自分たちは利用された被害者であると語っている。

・著名メディアなどに似せた偽サイトを利用して偽・誤情報、ナラティブを拡散していた=ドッペルゲンガー作戦。

これらに対して行われた制裁は下記。

・RT職員2名を外国代理人登録法違反に罪で起訴するなど10名を制裁。RT編集長、FSB元工作員なども含まれる。

・32のインターネットドメインの差し押さえ。

この措置に対して、米シンクタンクの大西洋評議会の専門家は、下記の点で肯定的に評価している。

・暴露だけでなく、複合的な対処を行っている。

・米国で海外からの脅威に対して、警戒態勢を敷き、適切に活動していることを示した。

・ロシアのRaHDi関連のあるハッカーの情報提供者に報奨金

しかし、その一方ですでにどっぷりと極右や陰謀論にはまっている人々には届かないかもしれないと指摘している。

米大統領選を前にした危うい試み

時期的に考えて米大統領選に対する効果=民主党の毅然とした対応を示し、トランプに対するマイナスのイメージを強めることを狙ったことであることは自明で、それも踏まえて報道しているメディアもある。
これが米大統領選にどのような影響を与えるかはわからないが、蓋然性の高いことがひとつある。ロシアは米国、バイデンが暴露することを予測していた可能性が高い。その理由は簡単で、Metaが2024年Q2の脅威レポートでロシアのドッペルゲンガーはパーセプション・ハッキングである可能性が高いことを指摘していたことだ。パーセプション・ハッキングは、デジタル影響工作を行ったことが露見し、相手が過度の警戒状態に陥って情報への不信感、過剰な警戒主義に陥ることを狙っている。今回の制裁は、デジタル影響工作を行ったことが露見し、相手が過度の警戒状態を招いている。
予想していた以上、次に行うこともあらかじめ決まっていると考える方が自然だろう。あえてなにもしないで自滅を待つという選択肢もあるかもしれない。今回の米大統領選は誰が勝っても暴動が起きると言われているくらいだ。今後の動向に注目したい。

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出典

Two RT Employees Indicted for Covertly Funding and Directing U.S. Company that Published Thousands of Videos in Furtherance of Russian Interests

US seizes Russian websites used in bid to influence 2024 election

Experts react: The US just accused Russia of meddling in the 2024 election. Here’s what to know.

DOJ alleges Russia funded US media company linked to right-wing social media stars

US accuses Russia of 2024 election interference

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