Telegramを中心に活動していた過激派コレクティブTerrorgramのリーダーが逮捕
米司法省は、分散型テロリストグループTerrorgramのリーダー2名を逮捕したと発表した。Terrorgramは、以前の記事で紹介したグループで、中心となる3つのTelegramチャンネルと、それをとりまく60以上のチャンネルなどで構成されている。
発表によれば、逮捕された2名は白人至上主義のイデオロギーを広め、ヘイトクライムを勧誘し、重要なインフラに対するテロ攻撃や政府高官の暗殺を扇動していたという。2名は、リーダーとして犯罪の実行のためのアドバイスを行い、攻撃を称賛し、テロのターゲットのリストに関する動画や出版物の作成と配布を手伝ったとされている。テロのターゲットには、米国の連邦、州、地方の公務員、民間企業やNGOなどのリーダーが含まれており、その多くは人種、宗教、国籍、性的指向、または性自認が理由で選ばれていた。2名は、加速主義と白人至上主義を推進するために、テロを実行するように薦め、実行するための装備や指導を提供したとされる。すでに事件を起こしたメンバーもいる。
注目すべきは2名は実行犯ではないことと、実行犯は逮捕されていないことだ。過去のテロリストと異なり、分散型のテロのネットワークはリーダー格を逮捕しても、そこにメンバーのリストはなく、リーダー自身もメンバーの素性は知らないから一斉に検挙できない。一時的に活動に影響が出てもさほど時間をおかずに再開できる。
Terrogram関連のTelegramチャンネル参加者を全員逮捕あるいは監視対象にすることは不可能ではないが、対象は7万以上と莫大だ。特に目立つメンバーに絞ったとしてもTelegramチャンネルは60以上存在しているうえ、過激なメッセージはチャットで送り合っているうえ、ボットを介して匿名で投稿することもできるため監視から特定にいたるには根気と時間が必要になる。今回の逮捕がTerrogramを弱体化させる可能性は低く、逆に今回の逮捕でより結束を強め、敵愾心を高めた可能性すらある。