米大統領選に干渉する中国のSpamouflageのネットワーク

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米国の大統領選が近づくにつれて、中国発のプロパガンダ活動がますます激化しているようだ。中国の悪名高きSpamouflageのネットワークが「トランプを支持する米国人の有権者」になりすました偽のアカウントを使用して、MAGAや愛国を謳ったコンテンツを拡散している。

過去に何度かお伝えしたとおり、Spamouflageは中国発の世論操作の大規模なオンライン活動だ。中国政府を支持し、その批判者を弱体化させることを主な目的としている。そして現在、そのリソースの多くが米国選挙へ向けられているようだ。

VOA(Voice of America) が9月17日に掲載した記事には、この活動の具体的な手口がいくつか示された。
たとえば、トランプ支持派の典型的な米国人有権者に見える「Noah R. Smith」という人物のソーシャルメディアアカウントには、「父親、元陸上競技代表、現在パンナムスポーツ組織のメンバー」などのプロフィールが記されており、投稿の内容も熱心なトランプ支持者そのものに見える。
しかし詳しく調べてみると、彼のプロフィールの写真には中国企業(画像や音楽などの素材を提供している一企業)のウォーターマークが入っており、プロフィールの文章はLaurel R. Smithという実在の人物のアカウントから盗用したものだった。

台湾のソーシャルメディア分析会社Doublethink Lab(DTL)とVOAが調査したところ、Xでは同様のアカウントが10件発見された。それらのアカウントは、7月14日のトランプ暗殺未遂事件以降にトランプ支持のコンテンツを拡散しはじめたのだが、この事件が起こる前はSpamouflageの幅広い内容、つまり中国擁護や米国の外交政策批判、そして米国内の対立(銃乱射事件や人種間の緊張など)を悪用して煽るような内容をシェアしていた。

DTLは、これらの米国人有権者になりすましたアカウントのネットワークを「MAGAflage 1」と名付けた。そのアカウントはすべて、トランプのスローガン「Make America Great Again」を宣伝しているように見えるからだ。

最初のMAGAflageネットワークは2024年4月に発見された。単に米国を批判するのではなく、トランプに関するポジティブなコンテンツの拡散のほうに重点を置いたMAGAflageのアカウントは、実在の米国ユーザーたちから妥当な数の関心を集めているという。一方で、今回特定されたMAGAflage 1のフォロワー数や交流はわずかであり、社会的に大きな影響は与えてはいないとも考えられる。

とはいえ、大統領選を控えた米国への「ロシアのプロパガンダの影響力」に注目が集まっている現在、少しずつ手法を変化させながら地道な活動をコツコツと広げている中国も、決して無視することはできないだろう。

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