イーロン・マスクがXの投稿で犯した5つの大罪

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The New York Timesは2024年9月27日、「Xにおけるイーロン・マスクの5日間:ディープフェイク、虚偽、そして大量のミーム」と題された記事を掲載した。この記事は、9月第三週の月曜から金曜までの5日間(2度目の米国大統領討論会と2度目のトランプ暗殺未遂事件の後)に、イーロン・マスクがXで行った171件の投稿を掘り下げたもので、そこには複数の問題点が挙げられている。

・誤情報の拡散
この5日間にイーロン・マスクがXで行った投稿のうち、約3分の1が虚偽の内容、誤解を招く内容、あるいは重要な文脈を欠いた内容だった。
たとえばトランプがニューヨークの集会で演説を行う数時間前に「近くで爆弾が発見された」という噂(誤報だったとされている)を拡散した。

・政治的な偏向
マスクの投稿の半分以上は政治に関するもので、保守的なスタンスを明確に示しており、特に移民、有権者の不正、言論の自由などのトピックに焦点を当てていた。たとえば「不法移民が選挙の結果に影響を与える可能性」を示唆するような投稿が拡散されたが、それは選挙管理当局によって否定されている内容だった。
これらの投稿の一部は、極右インフルエンサーや陰謀論者による投稿をシェアしたもので、それらのアカウントの多くは以前から選挙やワクチンへの疑念を煽っていた。

・ディープフェイク
彼はカリフォルニア州の新しいディープフェイク規制法についても誤った解釈を伝えた。この規制法には「パロディや風刺に対する例外規定」があるにも関わらず、マスクは「パロディが全面的に禁止される」と誤解させる内容を拡散した。その際にはハリスのディープフェイク動画がシェアされている。

・影響力の大きさ
Xの所有者であるイーロン・マスクのアカウントは現在、X上で最大のフォロワー数(約2億)を誇っている。そのアカウントで、彼は政治的なコメントや誤解を招く情報を大量に投稿している。それらが大きな注目を集めるのは当然で、彼のアカウントはXでの「誤情報の主な発信源」のひとつとなっている。

・誤報の放置
彼の投稿のうち数十件にはコミュニティノートによるフラグが提案されているが、それらの多くのコミュニティノートは公開に至っていない。そしてマスク自身は誤情報を訂正も削除もしていない。

ちなみにマスクは、この5日間で数多くのジョークやミームも投稿した。しかし、それらに対する反応はあまり大きくなく、最も注目を集めているのは彼の政治的意見や、誤解を招くような投稿だった。

以上が「Xにおけるイーロン・マスクの5日間」と題された記事の主な内容だ。ちなみに、この記事を書いたスチュアート・A・トンプソンは、オンラインで拡散される誤情報や偽情報の話題を専門に扱うカナダ人の記者で、この記事を執筆するために171件の投稿を収集し、それらの事実関係を確認した。マスクは、同記者によるコメントの依頼に応じていない。

他の記事「情報環境における最大の脅威はSNSプラットフォームのオーナー」でも紹介したように、イーロン・マスクに限らず、SNSプラットフォームのオーナーはさまざまな問題を生み出す脅威となっている。しかし、考えてみればビッグテックが国家と並ぶ地政学的アクターとされる時代なのだから、プーチンやトランプが問題なるのと同じように社会的問題を引き起こす主体となるのも当然のことだ。問題は我々の社会はまだそれに対応できていないことだろう。

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