米国の成人 TikTokでのニュースフォローは1%未満。しかし、ほぼ半数は政治的コンテンツを見ている

米国の非営利/非党派シンクタンク「Pew Research Center」が、米国のTikTokの利用状況に関する独自の調査結果を発表した。この調査は、米国の成人がTikTokでどのようなアカウントをフォローしているのかを明らかにし、どのようなコンテンツが閲覧されているのかを理解するために行われている。
TikTokユーザーの多くは「For You」経由で次のコンテンツにアクセスしている。しかしFor Youの形成には、フォローしているアカウントの投稿に対するユーザーの行動が大きく反映される。フォローされているアカウントの傾向や、それらが配信しているコンテンツの内容を調査することで、彼らのユーザーエクスペリエンスや、TikTok利用の動機を理解したいという狙いだ。
Pew Research Centerによる分析の結果は多岐にわたっており、様々な考察が行われているが、ここではほんの一部を紹介したい。
◆娯楽目的
米国成人ユーザーの多くは、エンターテインメントやポップカルチャーに関連するアカウントをフォローしている。フォローされているアカウント全体の約59%がコメディや音楽、ダンスなどのコンテンツを投稿している。
◆著名人の人気
彼らがフォローしているアカウントは、ソーシャルメディアですでに知名度を獲得しているクリエイターやインフルエンサー、そして一般に広く知られているセレブリティが多い。「米国の成人の大半がフォローしている100のアカウント」の大半は、このグループで占められていた。
◆ニュースの不人気
一方で、従来のニュースメディアやジャーナリスト、政治家、市民活動家のアカウントはほとんどフォローされていない。これらのグループは、今回の調査でリスト化されたアカウント全体の1%にも届かなかった。
◆どこにも属さないケース
米国成人のTikTokユーザーがフォローしているアカウントの約38%は、どのカテゴリーにも明確に当てはまらなかった。その多くは比較的フォロワー数が少なく、投稿の頻度も低い個人のアカウントだった。
大まかに言えば米国成人のTikTokユーザーは、ニュースや政治などの話題よりもエンターテイメントを求めているという傾向が強く見られた。そのこと自体には何の意外性もない。「そりゃ、TikTokはそういうものだ」と思われる方のほうが多いだろう。実際、TikTokの利用動機に関する複数選択式の質問では、ユーザーの95%が「娯楽として利用している」と回答した一方、「政治の動向を追うため」は36%にしかならなかった。
しかし今年初めに同センターが実施した別の調査では、30歳以下のTikTokユーザーのほぼ半数が「TikTokで何らかの政治的なコンテンツを見ている」と報告していた。つまりユーザーの多くはTikTokに政治的な話題を求めていないにも関わらず、結果としてそれに触れている機会は多いと言えるかもしれない。
一方で、フォロワーの多いアカウントで行われる投稿は、エンターテイメントやポップカルチャーに関する内容が多い。政治や社会問題に関する投稿があったのは10%程度、そして時事問題や最新ニュースについて議論しているのは、わずか5%だった。