公共投資が右派ポピュリストを減らす

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台頭する右派ポピュリズム

世界各地で極右など右派ポピュリストの台頭が顕著になってきている。多くの場合、ネットを通じて民主主義の価値観に反する過激な主張を発信していることから、SNSなどが成長の機会を与えているのではないかと言った議論も出てくる。極右政党AfDが勢力を増しているドイツでは民主主義が脅かされる危機感が高まっており、ドイツのDeutsche Welle誌は「What can stop the rise of populism in Germany and elsewhere?」と題する記事を掲載し、自国が直面している危機的な状況と、その対策について整理した。AfDのネット上での活動などについてはすでに下記の記事でご紹介しているので参照いただきたい。

ドイツの若い有権者を極右政党へ誘導するTikTokのアルゴリズム
AfDがTikTokでドイツ最強政党になる

特に衝撃的だったのは、すでにドイツ国内に移住している移民200万人を強制的に国外に移住させる計画で、その暴露はドイツ国内外に大きな反響を呼んだ。

ドイツ極右、移民200万人を北アフリカに強制移住させる計画が暴露される

AfDは何度か逆風を受けているにもかかわらず、今でも健在だ。民主主義国家である以上、政党を禁止するハードルは非常に高い。民主主義教育の強化などさまざまなことが提案され、試みられているようだが、AfDを駆逐するほどのものとはなっていない。

公共投資を減らせば右派ポピュリズムが伸びる

しかし、前述の記事で紹介されていたキール世界経済研究所によると、公共投資が行われた地域では右派ポピュリズムへの支持が15~20%減少したという。同研究所では、「EUが助成金として1人あたり100ユーロが支給すれば、右派ポピュリスト政党の得票率は0.5ポイント減少する」と結論している。逆に言うと、右派ポピュリズムを台頭させるためには、公共投資を減らせばよいことになる。
乱暴な仮説で結果論にすぎないが、日本はこれまで右派ポピュリズムを台頭を成長させるための経済政策を長期間続けてきたことになる。これだけ長期間かけたにもかかわらず、まだ主要政党が右派ポピュリズムに染まっていないことはむしろ驚きだが、じわじわと日本も世界の潮流に乗りつつあるようだ。

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