米ティーンの陰謀論とニュース接触の実態
若者のニュースリテラシーの向上を目指す米国の非営利団体「News Literacy Project」が発表した最新の調査結果によると、米国の10代の若者たちはソーシャルメディアを通して陰謀論に浸っており、また既存のニュースメディアに対しては冷ややかな態度を示しているようだ。
この調査は、米国の13歳から17歳の若者1028人を対象として、2024年2月15日から22日にかけてオンラインで実施された。主な調査結果は以下のとおり。
ティーンエイジャーと陰謀論
・全体の約80%が、少なくとも週に一度はソーシャルメディアで陰謀論を目にしている
・陰謀論を「見たことがある」と回答した若者の81%が、そのうちの少なくとも1つを信じている
・最も言及されたナラティブは「2020年の選挙が不正に操作された(盗まれた)」「COVID-19ワクチンは危険」「地球は平らである」などだった。
ティーンエイジャーと従来メディア
一方、既存のメディアに対する意見を尋ねたところ、否定的な回答が多かった。
・半数近く(45%)が「報道機関は民主主義を守るより、むしろ民主主義に害を及ぼす」と考えている
・全体の約80%は「報道機関による情報のほうが、オンライン上の他コンテンツの作成者よりも公平だ」とは考えていない
ティーンエイジャーとメディアリテラシー
・調査対象者の94%は「学校でメディアリテラシー教育を受けたい」と考えている
・しかし、そのような教育を2023年-2024年度に受けた回答者は、わずか39%だった
おおまかに言えば「米国の若者は、陰謀論の温床となっているプラットフォームを通して有害な情報に晒されており、彼ら自身が虚偽情報から身を守るための教育を望んでいるにも関わらず、実際にはメディアリテラシーの教育が不足している」ということになる。
News Literacy Projectとしては、まさしく「この点」を強調し、米国におけるメディアリテラシーの教育を推進したいだろう。この報告書は、若者たちが高校を卒業するまでに豊富な知識と批判的思考を養うことができるよう、保護者や教育者、政治家やジャーナリストに勧告する内容となっている。その勧告は、もちろん米国以外の国々にも当てはまるはずだ。
今回、トランプが当選したおかげで、ティーンが陰謀論に触れる機会はこれまでの4年間よりも増え、既存メディアへのネガティブな意見を多数派の意見と考えるようになりそう、と言うのは言いすぎだろうか?