西アフリカにおけるTikTok上の親ロ活動

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他国を狙って行われるプロパガンダ拡散や影響工作といえば、主に北米や欧州を標的とした活動が報じられがちだが、もちろん他の地域も例外ではない。

2024年8月30日のDigital Forensic Research Lab(以下DFRLab)の報告によれば、TikTokでは西アフリカを標的とした複数のアカウントが、親ロシアのプロパガンダ活動を行っている。
DFRLabは過去にも、親ロシアのコンテンツを配信する不審なYouTubeチャンネルやFacebookアカウントが、アフリカを標的に活動する様子を報告してきた。そして今回の報告は、数千人のフォロワーと高いエンゲージメントを持った親ロシアのTikTokアカウントに焦点を当てている。

目次

動画の内容

これらのTikTokアカウントはフランス語で活動しており、動画の内容は主に三つのカテゴリに分けられる。

・親ロシア(プーチン大統領を『アフリカ諸国を支援する世界的指導者』として描いたもの)
・親サヘル同盟(ブルキナファソの暫定大統領イブラヒム・トラオレなど、アフリカの指導者たちを称賛するもの)
・反フランス(マクロン大統領のアフリカとの関係や、ロシア・ウクライナ戦におけるフランスのアプローチを批判するもの)

動画配信に用いられている手法

・AIの利用
彼らが使用している動画の多くにAI生成のナレーションが使われている。一部のアカウントの動画には、動画生成に利用されたAIソフトウェアの透かしも残されていた。

・コンテンツの盗用
地元の報道機関やロシア国営メディアRTなど、既存のニュースメディアから盗用した映像や写真を転載して動画を作成している。

・協調した行動
複数のアカウントで、ほぼ同一の動画や類似した動画、あるいは全く同じAI生成のナレーションを使用した動画が配信されており、組織的な活動の可能性が疑われている。

人気を集めた動画

最も人気を集めた動画の一例として「フランスの政治家ジャン=リュック・メランションとロシアとの間のコミュニケーションについて、マクロン大統領が苛立っている」と主張する動画が挙げられた。この動画は15万回の再生と2,500の「いいね!」、1,300のコメントを獲得した。

他には「ブルキナファソのトラオレ暫定大統領とロシアのラブロフ外相の会談」「コンゴのサスヌゲソ大統領とプーチン大統領の会談」など、アフリカの指導者とロシアの高官の会談の動画にも大いに注目が集まっていた。

金銭的な利益も?

この報告で興味深いのは、これらの活動の動機が「イデオロギー的なものだけではないかもしれない」と考察されているところだ。

今回、DFRLabが特定した怪しいTikTokアカウントのうち2つは、Burkina Insightsというマーケティング企業の宣伝を行っていた。両アカウントは他のソーシャルメディア(YouTubeなど)にも存在しており、そのうちの一つはYouTubeチャンネルでもアフリカの指導者たちに注力したコンテンツを配信しており、同じメールアドレスを使って同じ動画を配信する別のチャンネルも作成していた。

これらの2つのアカウントには「広告代理店と関連している可能性」を示す指標があり、イデオロギーよりも利益を目的として活動しているのかもしれない、とDFRLabは指摘している。

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