NewsGuardがドゥーガンの情報保管庫を公開
NewsGuardは10月25日、「The Dougan Russian Disinformation Depository」と題された情報保管庫の立ち上げを発表した。その名前が示しているように、この保管庫はジョン・マーク・ドゥーガン(John Mark Dougan)の活動の手法、彼の活動によって拡散された偽情報だけでなく、Douganの今後の計画に関するオンラインチャットの記録などを含めた様々な記録を網羅している。
ここでジョン・マーク・ドゥーガンについておさらい
過去に何度かお伝えしてきたとおり、John Mark Douganはフロリダ州の副保安官を務めていたが、盗聴と恐喝で刑事告発を受けたのち、モスクワに逃亡した。現在ではロシアの世界的な偽情報ネットワークの重要な人物となっている。
とはいえ、もちろん彼はロシアの大規模な影響工作作戦を取り仕切っているラスボスのような存在ではない。ロシアのプロパガンダ担当者は少なくとも数十人存在しており、彼よりも地位の高い人物も多数いるものと考えられている。「しかし、NewsGuardが2年近くにわたって活動を記録してきたDouganは、その(ロシアの大規模な作戦の)象徴として、間違いなく相応しい人物だ」とNewsGuardは説明している。
Douganの活動は広範囲で大規模だ。彼は171のウェブサイトを開設し、地元のニュースメディアを装ってロシア発の偽情報を拡散してきた。たとえば架空の生物兵器の研究所などを報じる偽のドキュメンタリー、ゼレンスキーの汚職に関するデマ、米国やその他の国の政治家に対するデマや中傷などだ。また、Douganが拡散した偽情報動画の一部が、NewsGuardの報告によってYouTubeから削除された際には、NewsGuardの共同CEOであるSteven Brillの自宅にDouganからの脅迫電話が掛かってきた(もちろんBrillの自宅の電話番号は一般公開されていない)。
これらに関するすべての報告(Douganが拡散したデマ、関連するスクリーンショット、動画、関連報道、さらには脅迫電話の録音など)を包括的に記録し、また一元的に管理した理由について、NewsGuardは次のように語っている。
「しばしば漠然としたものになりがちな『ロシアによる偽情報』という事象に、名前、顔、性格、個人的な行動様式、そして個人的な経歴を与えるため、我々はThe Dougan Russian Disinformation Depositoryを立ち上げた」
そして、このデポジトリは今後も随時更新されていくという。