ドッペルゲンガーはクローキングでモデレーションを回避
2024年11月13日、ドイツの調査報道機関であるCORRECTIVとITフォレンジック企業Quriumは、ロシアのドッペルゲンガーに関する共同調査の結果を公開した。CORRECTIVは以前、ドイツの極右政党AfDの幹部らなどによる移民200万人を北アフリカに強制移住させる計画を暴露したことでも有名だ。
CORRECTIVの記事「Doppelgänger: CORRECTIV-Recherchen legen russische Propaganda-Kampagne lahm」
Quriumのレポート「When Kehr meets VexTrio」
「世界でもっとも調査されたデジタル影響工作」と評され、Metaからはパーセプション・ハッキングの可能性を指摘されているロシアのドッペルゲンガーだが、いまだにその注目度は衰えていない。今回の2つの機関が明らかにしたのはドッペルゲンガーがクローキングを利用してSNSプラットフォームのモデレーションのチェックをかいくぐっていたことだ。クローキングはクローラーや人間など閲覧者によって表示する内容を変えることである。詐欺などの犯罪に使われることもあり、Metaが2020年にクローキング・サービス事業者を訴えたこともあった。
Quriumの調査によると、少なくとも2017年から60以上のアフィリエイトサイト、7万以上の問題あるWEBサイトを含む巨大なネットワークでコンテンツを配信していたことがわかっている。その後、2023年5月以降、ドッペルゲンガーは「Kehr」というクローキング・サービスを利用していたことがわかった。Kehrのサービスを利用することでSNSの手動および自動のモデレーションを回避できるようになっていた。
Quriumは丹念に追跡を行い、ドッペルゲンガーとKehrの結びつきを検証している。また、ロシア国防省のIPアドレスまでたどりついており、ドッペルゲンガーへの国家の関与を示す貴重な証拠のひとつとなった。くわしい内容は、前述のQuriumのレポートをご覧いただきたい。