ロシアのインターネットでネオナチが米国人をリクルートする
The Guardianは2024年10月28日、米国を拠点とするネオナチグループ「The Base(ザ・ベース)」が、ロシアのソーシャルメディアを利用して米国人を「勧誘」していると報じた。より具体的にいえば、彼らは米国市民に「The Baseへの加入」を呼びかけるようなコンテンツを投稿する際、誰もが知っているサービス(FacebookやYouTubeなど)ではなく、ロシアに支援されたソーシャルメディアを利用しているという。
The Baseとは?
The Baseは2018年半ばに設立された小規模な過激派(武闘派)のネオナチグループで、世界各地に支部があり、米国やカナダ、オーストラリア、南アフリカ、ヨーロッパで活動している。白人至上主義者の彼らは、社会や政治の秩序を暴力で打倒することを信条に活動している。
この活動を指揮する創設者のRinaldo Nazzaroは、同グループの設立時にロシアへ移住した。現在も、妻や家族とともにロシアに住んでいると考えられている。彼は米国の国土安全保障省で働いた経験があり、ペンタゴンの請負業者でもあったことが明らかになっている。そのため、彼はThe Baseの設立時からロシアの機関と同盟を組み、米国の政治を混乱させようとしてきた米国人ではないかという疑惑が持ち上がっている。
The BaseはFBIのテロ対策掃討の対象となっており、一連のテロ活動で数十人のメンバーが逮捕されてきた。現在ではイギリス、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、そして最近では欧州連合でも「テロ組織」に指定されており、今年の9月にはオランダでも3人のメンバーが逮捕されている。ちなみに3人のうち1人は16歳の少年だった。
極右の過激派監視団体を監視するISDのアナリストSteven Rai氏によれば、The Baseの活動は、彼らをテロ組織に指定した西側諸国を避けるべく「着実に東へと移動している」という。「彼らはロシアを友好的な活動環境と見なしており、混乱を恐れずに米国人、あるいはその他の人々を勧誘できる場所だと認識している可能性が高い」と同氏は語る。
The Guardianの報告によると、近年のThe Baseはオンラインコンテンツの多くをロシア所有のサイトやサービスに移行してきた。そして米国人に同グループへの加入を呼びかける際、あるいは加入の手続きを説明する際には、FacebookやYouTubeを利用するかわりに、ロシア政府が支援する「VK(ロシア版Facebook)」や「Rutube(ロシア版YouTube)」にコンテンツを投稿している。またロシアのメディアではNazzaroの露出も増えており、ロシア国営のテレビ番組では彼のインタビューが放送されているという。