Metaの2024年第4四半期脅威レポートが意味するもの
MetaはSNSプラットフォームの中でも歴史的にデジタル影響工作などへの脅威に積極的に取り組み、それを脅威レポートとして公開してきた。その記録は偽・誤情報やデジタル影響工作の実態を知るうえでの貴重な資料となっている。しかし、その貴重な資料も終わる時が来たようだ。
Metaの2024年第4四半期脅威レポートは空っぽだった。脅威レポートの体裁は取っているものの、アトリビューションがあいまいで、おそらく実際に対処した脅威の一部しか公開していない。過去のアトリビューションでは具体的な個人名や組織名をあげることが多かったが、今回はすべてそれを避けている。
Metaはいくつかの理由でインドの行う活動を不記載としてきたが、今回のレポートではとりあげている。しかし、アトリビューションをあいまいにしたことで問題を避けた形になっている。
レポートの表紙には担当者の名前が記載されるのが常だが、その人数はこれまでよりも少なく、しかも脅威インテリジェンスの専門家の名前が消えている。
Metaは脅威対策チームを縮小し、レポートは簡素化された、と考えた方がよさそうだ。また、その簡素化の方向は政治的である可能性が高い。政治的に取り上げない方がよいものは不掲載とし、取り上げた方がよいものは掲載するという方針だ。