右派+ポピュリズム=偽・誤情報拡散、という調査結果

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これまでの偽・誤情報研究は海外のアクターなどを主に調査してきたが、国内の政党や政治家など政治の主体が研究対象となってきている。いずれイーロン・マスク研究などの論文が出るのだろう。政党と偽・誤情報の拡散についての研究はまだ数が少なく、今回ご紹介する論文「When Do Parties Lie? Misinformation and Radical-Right Populism Across 26 Countries」はその数少ないひとつである。

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26か国8,198人の国会議員の投稿

2017年から 2022年までの期間といくつかの選挙期間の26か国8,198人の国会議員の3200万件のXの投稿を分析した結果、偽・誤情報の発信や拡散は右派、左派といったイデオロギーやポピュリズムによって違いはなく、右派のイデオロギーとポピュリズムというふたつを満たした時、偽・誤情報を拡散する傾向が現れることがわかった。
26カ国のほとんどはヨーロッパであり、日本は含まれていない。

SNSによって政治関係者がアジェンダ設定しやすくなった

この論文の前段では、SNSに偽・誤情報が蔓延している、という一般の認識は調査研究によって否定されており、偽・誤情報への警告はパニック現象として理解すべきという研究結果を紹介している。偽・誤情報は政治に深刻な影響を与える可能性があるが、SNSが主犯ではない。
偽・誤情報は政治に関係する人々による組織的キャンペーンと考える研究者が増えている。SNSが果たしている役割は政治関係者がアジェンダ設定を行う手段として機能している。

日本でも同じ傾向がある

政治関係者が偽・誤情報を拡散させるという現象は、日本でもすでに顕著に表れている。主要野党に反ワクチンを主張する議員がいることは有名であり、新興の政党のいくつか(保守でポピュリズム)は偽・誤情報を拡散し、それによってアジェンダ設定しようとしている。

より広い意味では、現在の政権も割合としてわずかで実害もほとんどない偽・誤情報を「民主主義の脅威」と呼称して危機感を煽っている点では「偽・誤情報を拡散している政治関係者」になる。

もともと偽・誤情報の発信源、デジタル影響工作の主体としては国内の政治アクターが多かったが、ようやくそちらに研究の光が当たり始めたようだ。

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