DeepSeek NewsGuard社のテストで最悪に近い結果

  • URLをコピーしました!

DeepSeekのAIチャットボットは、NewsGuard社は同社が定期的に主要チャットボットに対して行っているテストで非正答率(誤答もしくは、正しい答えを返せない割合)83%となり、テスト対象の主要チャットボット11のうち10位という結果だったと2025年1月29日に発表した。

続く1月30日は、DeepSeekは中国、ロシア、イランの偽・誤情報について中国政府の視点での回答を返しているDeepSeekのAIチャットボットを、「Disinformation Machine」と評した

ニュースや社会問題に関するテスト項目で問題となる答えを返すことが多く、いずれも中国政府にとって正しいと思われる答えを返している。おおげさに言うと、民主主義国家においては「真実の裁定者」は国民であり、人権など民主主義的価値観が重要とされる。これに対して非民主主義国における「真実の裁定者」は独裁者や国家の最高権威であり、人権など民主主義的価値観は必ずしも重要とはされない。デジタル影響工作研究の草分けであるサミュエル・ウーリーは、あらゆるシステムには必ず開発者やその組織のイデオロギーが反映されている、と指摘したが、その通りだ。AIも例外ではない。特にもっとも身近なチャットボットやエージェントをどのモデルが担うことになるかによって、人間社会のイデオロギーも大きく変わる可能性がある。

よかったらシェアお願いします
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
プロフィール https://ichida-kazuki.com
ニューズウィーク日本版コラム https://www.newsweekjapan.jp/ichida/
note https://note.com/ichi_twnovel
X(旧ツイッター) https://x.com/K_Ichida

目次