USAIDバッシング トランプ陣営と中露が連携

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アメリカ国際開発庁(USAID)の閉鎖を巡って、多数の陰謀論や偽・誤情報が飛び交っている。トランプやイーロン・マスクはその発信源のひとつだが、ロシアや中国がその拡散に協力している。

アメリカの有名俳優やウクライナのゼレンスキーとUSAIDの怪しい噂について、AFPはファクトチェックを行い、イーロン・マスクやトランプJr.が拡散した投稿が偽・誤情報であったことと、ロシアのプロパガンダメディア由来のものであったことを検証した。イーロン・マスクの意図は不明だが、ロシアの偽・誤情報を拡散しており、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が「事実上のプーチンの最強の「影響力のエージェント」」になっていると、いぶかしがるのも道理だ。

中国の新華社はUSAIDの閉鎖が発表されると記事を掲載し、イーロン・マスクがUSAIDの「詐欺」を見つけたというトランプの発言を記事にした。新華社は中国のメディアだが、そのニュース配信ネットワークは、100以上の国や地域と協力協定を結び、20を超える多国間組織と提携する、世界規模のネットワークだ。そして、新華社は数ある中国メディアのひとつに過ぎない。

The New York Timesはこうした中露とトランプ陣営の連携が広がっていると指摘している。トランプ陣営の発言を中国やロシアが拡散し、ロシアの偽・誤情報をトランプ陣営が拡散するという拡散のスパイラルができているようだ。

コロナ禍において陰謀論の市場が拡大し、中露と陰謀論者や極右など反主流派との結びつきが広がったことは有名だが、トランプ禍で再び同じ現象が起きているのかもしれない。

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この記事を書いた人

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
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