米大統領選とトルコの弾圧で活躍した世論操作兵器 X

トルコ当局はX上で言論を統制し、個人情報を入手している
トルコでエルドアン大統領のライバルだったイマムオール市長が逮捕、訴追された。同国内では不当な逮捕であるとする抗議活動が広まっている。逮捕後、X上でも抗議の声があがったが、次々とそのアカウントは停止されていった。トルコ当局は300以上の「憎悪を煽っている」アカウントを発見し、50人以上を逮捕した。アカウントの停止などはトルコ当局の要請にXが応じた実施したものだった。
「イーロン・マスク買収後、ツイッター(現、X)は当局の要請にほぼ全部応えていた」ことがわかっている。買収以前は50%程度だったものが、80%に跳ね上がったのだ。しかも、トルコはその前に言論統制のための法律を成立させており、その法律にのっとってXに多くの投稿の削除や個人情報の開示を要請していた。
Xは共和党の政党広報ツールと化していた
2024年10月29日のワシントン・ポストの記事によれば、X上では共和党の投稿は民主党よりもはるかにバズりやすくなっていた。活発な国会議員上位50アカウントのフォロワーの増加では、共和党議員のアカウントの増加の方が民主党よりもはるかに多くなっていた。
また、選挙時期の暴露の偏りを分析した論文、「Auditing Political Exposure Bias: Algorithmic Amplification on Twitter/𝕏 During the 2024 U.S. Presidential Election」でも、特に右よりの偏りが激しかったことが指摘されている。
Xは偏向を拡大し、特定の政治的主張を優先したりするだけでなく、当局の要請に応えるという形で言論統制や逮捕に協力していることがこれらの事例からわかる。EUのDSAが功を奏していない現状、Xを抑制する効果的な方法はないようだ。