DFRLabによる日本の対策の遅れと提言

  • URLをコピーしました!

最近、アメリカ流偽・誤情報、デジタル影響工作対策を関係各国に拡販しているデジタルフォレンジック・リサーチラボによる日本の現状分析と提言を含むレポートが2025年3月25日に公開された。

Japan’s technology paradox: the challenge of Chinese disinformation
https://dfrlab.org/2025/03/25/japan-tech-chinese-disinformation/

日本が直面している中国の脅威について説明し、近年の中国の干渉の事例を紹介し、日本の対策の遅れが深刻なリスクとなっていることを指摘している。そもそもいまだにフロッピーディスクやファックスを利用しているような、デジタル化以前の状態であることがその原因としている。

日本政府はすでにさまざまな対応を試みているものの、効果が出ておらず、不十分と分析している。国際協力やSNSプラットフォームへの協力要請などを進めるよう提言している。

日本に対する中国の干渉の事例では、沖縄や処理水などが取り上げられており、「研究者の一田和樹」の記事まで紹介されていた。おそらく生成AIでサーチしたのではないかと思う。
アメリカの研究者を代表する意見ではないが、「こんなふうに見ているんだ」という参考になる。ただ、アメリカはこの領域で失敗しており、その国で比較的中心にいた研究機関からのアドバイスをそのままには受け取りにくいと思うのは私だけではないと思う。提言はまっとうな内容だが、その前にやるべき国内対策(正確には統合的な対策の一環としての国内対策)を怠った結果が今のアメリカなのだ。
蛇足になるが、DFRLabの日本レポートは日本人からみると解像度が粗い。前回もそうだった。改善してほしいものだ。

よかったらシェアお願いします
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
プロフィール https://ichida-kazuki.com
ニューズウィーク日本版コラム https://www.newsweekjapan.jp/ichida/
note https://note.com/ichi_twnovel
X(旧ツイッター) https://x.com/K_Ichida

目次