米J6ersの活躍が暗示する危険性

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J6ersとは、1月6日にアメリカ連邦議事堂を襲撃し、投獄された人々を指した言葉だ。多くは逮捕、投獄されたことを隠しているが、インフルエンサーとして活躍したり、活動家になったり、立候補を考えている者までいるという。

AP begins tracking political involvement of pardoned J6ers, works for exclusive access
https://www.ap.org/news-highlights/best-of-the-week/honorable-mention/2025/ap-begins-tracking-political-involvement-of-pardoned-j6ers-works-for-exclusive-access/

They stormed the Capitol. Now they’re selling merch. Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2025/05/14/jan-6-influencers/

共和党や保守派の中で彼らの扱いはまだ定まっているわけではないようで、保守派の集会CPACでは当初、J6ersの入場が拒否されたことが話題になり、あわてて拒否していないと発表したこともある(ただし、入れなかったと主張するJ6ersもいる)。
ホワイトハウスを訪問し、数名の閣僚と面談した者もいることから、政権としてはJ6ersを許容する方向であることが推察できる。

政権が世論や政治的活動を扇動する方法はいくつかの段階に分けられる。政権関係者が指示を出すというもっとも直接的な方法から、指示や支援はなにもしないが、止めないという軽い方法まで4つの段階分かれる。現在、トランプ政権が行っているのは、間接的な支援や支持を行う方法で、恩赦、ホワイトハウスでの面談といったことがこれにあたる。これにより、本人たちは「やっても大丈夫」と考えるようになる。
トランプ政権は反DEIなど、これまでとは大きく異なる政策を進めており、当然市民の反発も大きい。それを抑制、自主規制させるための方法のひとつが自分の味方となる市民を扇動して、反発する市民を黙らせる方法だ。J6ersの活躍はその象徴として実は重要な意味を持っている

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この記事を書いた人

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
プロフィール https://ichida-kazuki.com
ニューズウィーク日本版コラム https://www.newsweekjapan.jp/ichida/
note https://note.com/ichi_twnovel
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