マスクとオデュッセイア:「歴史的な正確さ」を検証する

イーロン・マスクとオデュッセイアの話題については、すでに耳にしている方が多いかもしれない。馬鹿馬鹿しすぎて気に留めなかったという方もいるだろう。しかし、この話題からは、単なる億万長者の妄言として終わらせることのできない問題が見えてくる。今回はイーロン・マスクとオデュッセイアのトピックをおさらいし、あえて彼の馬鹿発言を真剣に検証したうえで、その発言の影響や問題点について考えていきたい。
発端は「配役」
2026年7月に公開されたクリストファー・ノーラン監督の新作『オデュッセイア』が、好調な滑り出しを見せている(日本では9月公開予定)。しかし、この作品を長らく酷評してきたのがイーロン・マスクだった。彼が気に入らなかったのは、アフリカ系のルピタ・ニョンゴや、トランスジェンダーとして知られるエリオット・ペイジの起用である。その配役についてマスクは「ギリシャ人に対する侮蔑」だと述べた。
実は、数年前までのマスクはノーランを称賛していた。しかし2026年1月、ニョンゴの起用を知ったマスクは一変して「ノーランは誠実さを失った」と彼を非難した。その怒りは時間と共に増幅していったようで、春頃になると「ノーランは反白人の人種差別主義者だ」「彼は賞が欲しいだけだ」「恥を知れ」と記すようになった。最近ではノーランを「虫けら(worm)」と呼ぶまでに至っている。
さらにマスクは「最高の映画を作ることだけを基準にすればいいのに、DEI(多様性・公平性・包摂性)とかいうデタラメをアカデミー賞の資格要件に持ち込んだクソは、どこの誰なんだ?」と投稿した。つまりノーランはオスカーに媚びるための配役をした、という決めつけであり、オスカーが諸悪の根源だという主張である。「これは西洋文明を破壊しようと企んでいる左派の計画の一部だ」という陰謀論の投稿に対しても、マスクは「そのとおり」とコメントするようになった。
マスクの宣言「俺がAIに作らせる」
やがてマスクは、あるXユーザーによる提案「メル・ギブソンに1億ドルを渡して(オデュッセイアを)撮らせろ」という投稿に、「乗った」とリプライした。それは「船も鎧も武器も配役も、徹底して歴史的に正確なものを。台詞はすべて原詩のまま、ホメーロス期のギリシャ語に」という提案だった(ちなみにギブソンは、トランプ大統領がハリウッド担当特使に任命した人物である)。
しかし2026年7月22日には、別のXユーザーが「Grok Imagine」で生成した3分間のオデュッセイアの動画を投稿した。その投稿者は、動画の生成に利用したプロンプトも公開しており、オデュッセウスを島に引き止めた女神カリュプソには「柔らかなギリシャ訛り」などの指示をしていた。つまり、その登場人物はギリシャ語ではなく「ギリシャ語訛りの英語」で話している。
これは北米のドラマや映画で「Just a Stupid Accent」と呼ばれるスタイルだ。たとえば黒澤映画をハリウッドでリメイクする際、わざわざ英語話者の俳優に強烈な日本語訛りの英語を喋らせるような行為で、むしろステレオタイプと見なされる可能性が高い。「原作の国を侮辱しない、歴史的に正確な」演出には程遠いだろう。しかしマスクは、その投稿を引用しながら高らかに宣言した。
「Grok Imagineが今年中に『オデュッセイア』の長編映画を作る。歴史的に正確で、ホメーロスの芸術に忠実なものを」1
このマスクによる投稿は、一日で800万回以上表示された。
確認:いまさら訊ねにくい『オデュッセイア』
マスクの発言を真面目に検証する前に、「そもそもオデュッセイアとは何なのか」を確認する必要があるだろう。西洋文学の基礎とも呼ばれる「イーリアス」と「オデュッセイア」は、古代ギリシャの吟遊詩人ホメーロスによって、紀元前8世紀ごろに作られたとされる叙事詩だ。「美しい歌声で船乗りを破滅させる海の怪物セイレーン」や「旅人を食らう一つ目のキュクロプス」などのキャラクタも、この叙事詩から生まれた。
しかしストーリーは意外と単純である。十年のトロイア戦争が終わったあと、イタケー島の王オデュッセウスが、魔女やら巨人やら怪物やらに邪魔されながら、さらに十年かけて故郷に帰還する。ほとんどそれだけだ。このように書くと純然たるファンタジー小説のようにも聞こえるが、100%のおとぎ話とも言い切れない。トロイアの遺跡、およびミュケナイという文明の存在が確認されているため、「史実がうっすら透けて見える神話」ぐらいの表現が妥当だろう。そして忘れられがちなのだが、オデュッセイアは書物ではなく歌だ。つまり文字が普及するよりも前に、口承(歌)で伝えられてきたもので、もともと小説のような形態をとってはいない。
もうひとつ重要なことを確認したい。イーリアスやオデュッセイアの作者とされるホメーロスは、実在の人物かどうかで意見が分かれている。実在派の間でも、彼がどのような人物だったのかは定まっていない。つまりマスクは、本当にいたのかどうかも分からない3000年前の吟遊詩人が作った歌、魔女やら巨人やら怪物やらに苦戦しながら故郷に帰還する英雄の叙事詩を「歴史的に正確な映画」にしようと言っているのだ。
マスク視点の「歴史的な不正確さ」とは
それではノーラン監督のオデュッセイアについて、マスクが「歴史的に正しくない」と考えた具体的なポイントはどこだったのか。最初にお伝えしたとおり、まずマスクが憤ったのは「配役」だった。そして彼は、他のことには大して興味がなかったようだ。
マスクの憤怒の引き金となったルピタ・ニョンゴは、「スパルタ王妃ヘレネ」を演じている。ヘレネは人間離れした美貌の持ち主で、トロイアの王子が彼女を連れ去ったことがトロイア戦争の引き金となった(という設定の神話である、念のため)。そしてオスカー女優のルピタ・ニョンゴも、ピープル誌の2014年版「世界で最も美しい女性ランキング」の一位に選ばれた美女だ。しかし彼女はケニア人の両親から生まれた俳優なので、マスクを含めた一部の人々(主に保守派の論説者など)は彼女の起用に拒絶反応を示した。なにしろヘレネ役といえば「白人で金髪で碧眼の女性」が当たり前だったからだろう。
しかしノーランのオデュッセイアに関しては、配役以外にも多くの炎上ポイントがあった。たとえば役者たちが米式発音の英語で話しているため、「ぜんぜん古代ギリシャの人々らしくない、オハイオ出身者にしか見えない」という批判があった。また台詞が現代風の言葉であることにもツッコミが入っている。さらに小道具や大道具についても「アガメムノンの鎧がバットマンっぽい」「船の形がヴァイキングの船っぽい」などと揶揄する声があった。また「今回のオデュッセイアは2017年のエミリー・ウィルソンによる英訳版を土台にしているせいで、フェミニズムやウォークに偏っている」という意見もあった2。さらにラッパーのトラヴィス・スコットが吟遊詩人の役を演じていることについて、一部からは批判や失笑の声が挙がっている。
このように、オデュッセイアには批判や難癖のためのネタが山ほどあったのだが、マスクがこだわったのは「役者の人種やセクシャリティと配役」だった。あくまでも彼は、アフリカ系の俳優が絶世の美女を演じること、トランスジェンダーの俳優が古代ギリシャの有名な英雄を演じること(後述するが、これは誤情報である)の「不正確さ」に執着し、その延長として「映画の配役にDEIを持ち込んだアカデミー賞(マスク曰く)」を批判している。それ以外の要素について、彼が「不正確だ」「不誠実だ」と主張する意見は、筆者が確認した範囲では見つからなかった。
正当性をあえて真面目に検証する
というわけなので、本稿では米国英語や大道具、その他への批判を完全に無視しよう。
これらの批判に対しては、ノーラン監督、出演者、関係者たちが非常に面白い反論をしているので、できれば紹介したかったのだが、ここではあくまでもイーロン・マスクに噛り付くことにする。
まずは、真っ先にマスクの怒りを買ったヘレネ役のニョンゴの起用について検証したい。あるXユーザーが「ヘレネは色白で金髪だと詩に描写されているのだから、ニョンゴの起用は原作者への侮辱だ」と投稿したとき、マスクは同調した。しかしオデュッセイアの原作には、ヘレネの肌や髪の色に関する記述がない。「白い腕の」という表現は出てくるものの、それは身分ある女性一般に使われる定型句と考えられている。また、ホメーロスの原作が「金髪」と表現したのは別の登場人物たちで、ヘレネではない。ヘレネを金髪にしたのは後世の人々だった。
そもそもホメーロスは「絶世の美女ヘレネ」の外見にはほとんど触れず、彼女を見た人々の反応を描写することによって、ヘレネがどれほど美しい女性だったのかを表現している。もちろんヘレネの人種など記されていないし、そもそも古代ギリシャに人種という概念があったかどうかも分からない。さらにヘレネは「ゼウスが白鳥に姿を変え、スパルタの王妃レダと交わったときに生まれた娘」なので人種もへったくれもない。彼女は神と(あるいは鳥と)人類の子供だ。どんな人間が演じても正確ではないだろう。
次にマスクが批判したのは、エリオット・ペイジの起用だった。マスクは「トランスジェンダーのペイジがアキレウスを演じるなんて」といった投稿に同意を示したのだが、その当時はペイジが誰の役を演じるのかが公表されていなかった。したがって、マスクに拡散されたのは単なる噂話だ。そして実際にペイジが演じたのはアキレウスではなく、シノンという兵士の役である3。
マスクにとっては、たとえ誰の役であろうと、オデュッセイアの世界にペイジがいること自体が不愉快だったと思われる。しかし自分に同調するユーザーを煽りたいなら、「英雄の代名詞にもなっているアキレウスの役を、こともあろうにトランスジェンダーが演じる」という噂を広めたほうが効果的だっただろう(もちろん、マスク本人がデマを本気で信じていただけという可能性も充分にある)。
またマスクは「オスカー批判」の投稿にも次々と同意しているのだが、それらの中にも誤情報が含まれていた。たとえば、あるXユーザーが投稿した不正確な情報、「オスカーで作品賞を得るには、三つの多様性の基準を満たさなければならず、キャストの30%は白人以外、またはストレート以外の人物でなければならない」というポストに「True」というコメントをつけたうえで自分の意見を述べている4。
気まぐれな「True」の影響力
ここで確認しておきたいのは、マスクの批判の手法だ。そこにはいくつかの特徴がある。
まず一つめ。マスクは一度も「黒人がヘレネを演じるな」「オデュッセイアにトランスジェンダーを出すな」とは言っていない。「これは白人に対する差別だ」「この配役はホメーロスを/ギリシャを冒涜するものだ」といった切り口の批判をすることにより、「あくまでも正確さを重視するために、この配役を否定する」という正当化のパターンを繰り返している。たとえ「正確さ」の根拠が薄っぺらだったとしても、同じような主張を何度も目にすれば、多くの人は「なるほど、本当はそうなのだな。DEIに配慮しすぎたせいで変なものになったのだな」と思ってしまうだろう。
そして二つめ。マスクはオデュッセイア批判のほとんどにおいて、自分の言葉で本題の主張をしていない。ひとりのXユーザーの投稿、たとえば「ニョンゴを世界一の美女だと本気で思っている人間など一人もいない」や「ノーランは臆病だ」といった投稿に「True(まったくだ)」などとリプライし、ちょいと自分の感想を述べているだけである。多くの場合はシェアすらしていない。その気まぐれなリプライは、元の投稿を引用するまでもなく注目される。彼がコメントすれば人々は騒ぎ、メディアでも報道され、元の投稿も次々とシェアされるため、結果として世界中のユーザーに彼の主張したいことが届けられてしまう。
つまり彼は「真偽は不明だが、自分の主張を後押ししそうな、もっともらしく聞こえる発言」を他人の投稿に頼っている。彼自身は、プラットフォーム上で最も大きな影響力のある人間の立場からコメントをしているだけだ。たとえ投稿の内容が間違っていても、ただ同意しただけのマスクは訂正やお詫びをする必要がない。この億万長者が気軽に同意した投稿は、それが事実かどうかの検証を経ないまま、とんでもない数の人々に届けられる。なにしろニューヨーク・タイムズでさえデジタル購読者の数が1000万人前後なのに、マスクのXアカウントのフォロワーは2億アカウントを超えている。
もちろん「実際にマスクの投稿を読んでいる人間のフォロワー」の数が2億に遠く及ばないのは明らかで、なおかつマスクが他者の投稿にリプライをつけてもフォロワーのタイムラインに表示されるとは限らない。それでも自分の意思だけで、好きなタイミングで、何の審査も通さず、アカウントを凍結される恐れもないまま、これほど大量の人数に自分の主張を届けるポテンシャルを持った人間は、おそらく彼しかいない。
彼は膨大なユーザー数を誇るプラットフォームの所有者だ。そのオーナーは主張の言語化を他人に任せ、気に入った意見に注目を集めさせる方法を誰よりも分かっている。彼は他人の投稿を利用する形で、誤情報まじりに、何の責任も負わないまま、いかにも正論らしく聞こえる主張を拡散できる。これは映画に限った話ではない。それが社会問題でも政治の話でも、いかなるトピックでも、彼はまったく同じテンプレートで安全な立場から「自分の主張に近く、なおかつ筋の通った主張に聞こえる言葉」を大量に拡散し、その意見が「正常」であるかのように見せることができるだろう。
オーナーも全能神ではない
Xを利用するユーザーが大量にいるかぎり、このシステムは変わらない。これでは真面目に何かを主張しようとしている人たちに勝ち目がないではないか、と絶望した方がいるかもしれないので、最後にちょっとだけ気分が良くなりそうな話をしたい。
イーロン・マスク、およびマスクのお気に入りたちによるX上のネガティブキャンペーンは半年以上に渡り、マスクに同意する人々はオデュッセイアのボイコットを宣言した。にも関わらず、オデュッセイアの公開初週末の世界興行収入は2億6410万ドルに達した。それは2億5000万ドルもの製作費を、ほとんど最初の一週間だけで回収したことを意味している。すでに大成功と言って良いだろう。つまりマスクの攻撃は、興行的な意味では成功しなかった。むしろ騒ぎを起こしたことで、映画の宣伝に力を貸してしまったかもしれない。
本作はRotten Tomatoesでも、批評家と観客の両方から高い評価を得ている。そして面白いことに、本作の配役に腹を立てていた右派の間にも分裂が起きている。この作品を実際に劇場で見て「傑作だった」「やはりエリオット・ペイジの起用には納得いかないが、ペイジだけを理由にこれほどの体験を逃すのはもったいない」などと語り、チケットの購入を呼び掛ける人まで現れる始末で、もはやノーランを罵倒していた右派は一枚岩ではない。さらに保守派メディアのナショナル・レビューは「ノーラン礼賛派もマスクの保守的執着派も、どちらも誇大宣伝に踊らされているだけ。保守派は、この狂乱から距離を置け」と、たしなめるような呼び掛けをしている。
このような状況で、いまさら「マスクから見て歴史的に正しいオデュッセイア」などといった長編映画をGrok Imagineで作ったとして、どれほどの人々がそれを喜ぶのだろうか。「ノーランのオデュッセイアよりも素晴らしい」と心から言える人はいるのだろうか。そもそもGrok Imagineで、失笑を買わないレベルの長編動画を年内に完成させられる可能性は、決して高くなさそうだ。
もしもXユーザーの誰かが「ノーランに撮らせるぐらいなら、歴史的に正確な長編映画をGrok Imagineで作ったほうがマシなものになったのに」と投稿し、マスクがそれに「True」とコメントしながら適当な感想を述べただけだったなら、マスクは通常どおりに何の訂正もしないまま、その話を丸ごと投げ出すことができただろう。しかし彼は主張の安全装置を自ら外した。「Grok Imagineでのオデュッセイア実写化」は、マスク本人がゼロから自分で言い出したことで、それは初日に800万回以上表示されている。何らかの失敗があれば、そこには彼自身の名前が深く刻まれることになるだろう。そんなことを恥ずかしがるタイプではないだろ、と言われれば、その通りなのかもしれないが。
注釈
- つまりマスクは「メル・ギブソンに1億ドルで撮影させるプラン」から、AIに数か月で生成させるプランへ乗り換えたことになる。指名されたギブソンの耳にも、マスクのプランの話題は何らかの形で届いていたのではないかと思うのだが、突然のプラン変更に対する彼のコメントは見つからなかった。そんなことを尋ねる物好きはいなかったようだ。
↩︎ - このエミリー・ウィルソン版は「女性によるオデュッセイアの英語翻訳」として初の存在だったため、右派が拒絶反応を示したものと思われる。ちなみに「ノーランのオデュッセイアはウィルソン版を土台にしている」という主張は裏が取れていない。
↩︎ - 彼が演じたシノンという人物は、そもそもオデュッセイアにもイーリアスにも登場していないキャラだった。
↩︎ - ここで挙げられているのは受賞の基準ではなく「ノミネートの資格」である。また実際に満たさなければならないのは「4つの多様性基準のうち2つ」で、それはクルーや配給機会などでも代替できる。また「30%」のほうは、端役/脇役の2つ以上の「過小評価グループ」に関する条件である。このグループは人種やLGBTQに限らず、女性や障害者でも構わない。
↩︎
引用元、参照URL
Elon Musk on X_ Before this year ends, Grok Imagine will make a full-length movie of The Odyssey… X
https://x.com/elonmusk/status/2079758604656316619
Elon Musk says his Grok Imagine Al platform will make ‘historically accurate’ Odyssey adaptation by year-end _ CNN Business
https://edition.cnn.com/2026/07/22/tech/musk-grok-odyssey-adaptation-scli-intl
Christopher Nolan Says ‘Odyssey’ Backlash From Elon Musk Is Irrelevant
https://variety.com/2026/film/news/christopher-nolan-odyssey-backlash-elon-musk-irrelevant-1236806375/
Elon Musk says Grok will make ‘historically accurate’ Odyssey movie this year
https://thehill.com/blogs/in-the-know/5984222-elon-musk-ai-movie-recreation/
Elon Musk Calls Nolan ‘A Worm’ Ahead of The Odyssey Premiere
https://cosmicbook.news/elon-musk-nolan-worm-the-odyssey-premiere
Conservatives Admit The Odyssey Was “Really Really Good”
https://consequence.net/2026/07/conservatives-admit-the-odyssey-was-really-really-good/
Critics Rave About ‘The Odyssey’—And Slam Elon Musk’s Anti-Woke Campaign
https://www.forbes.com/sites/conormurray/2026/07/15/critics-rave-about-the-odyssey-and-slam-elon-musks-anti-woke-campaign/
Christopher Nolan’s ‘The Odyssey’_ Conservative Obsession Fueled By Marketing Hype _ National Review
https://www.nationalreview.com/2026/07/the-fog-of-hype/
Why Christopher Nolan’s ‘The Odyssey’ Defied Box Office Expectations
https://variety.com/2026/film/box-office/odyssey-box-office-christopher-nolan-1236816035/
