INDOS UNVEIL ピックアップ 2026年4月17日~4月23日

2026年4月17日~4月23日にピックアップした66件の情報をまとめました。
2026年4月17日~4月23日にピックアップした情報の傾向
・2022年以降、暴力の時代に突入し、戦争と紛争、テロが拡大している。2026年に入って、その傾向は加速した。今週は、戦争に投入されているドローンやAIなど新しい技術に関するニュースが多かった。
・AIの脅威に関する議論が拡大する一方、投資と利用が進んでいる。むしろ安全保障やビジネスの分野での競争に負けないために投資と利用が不可欠であり、競合よりも多く投資と利用を行うべきとなっている状況は、「AI」にとってのサスティナブル・ウォーの価値を高めている。AIが脅威であり続ける状況下で、最大の投資と利用を甘受できることをAIは学びつつある。
・イランの認知戦の戦法に大きな変化が確認された。生成AIとミームを利用したスロパガンガのエンゲージメントは高く、従来の偽情報やプロパガンダよりも効果が高いようだ。
個別情報
・ほとんどが白人で占められているトランプ政権の中にも少数だが、有色人種もいる。インド系アメリカ人は有力な少数派として知られている。
彼らは激しい人種差別の標的にされている。DEIを否定し、人種差別的な言動を行う政権にその対象となる人間がいるのは矛盾しているように見えるが、特権階級と同一視されたためにそのようにする層は過去に買弁階級(comprador class)と呼ばれていたことがあると専門家は指摘し、コメディアンは大統領のDEI(dick eating Indians)と呼んでいる。
MAGA Indians Went All In on Trump. Many Right-Wingers Can’t Stand Them – WIRED 2026/04/16
https://www.wired.com/story/maga-indians-went-all-in-on-trump/
・戦争省はGMやフォードなどの自動車メーカーに武器や軍事物資の生産について協議を行った。
戦争大好きトランプ政権のおかげで、武器などの在庫が乏しくなってきたためだ。前回のトランプ政権ではGMとフォードに人工呼吸器の量産に協力してもらった。
日本でもトヨタはすでに高機動車を自衛隊に納入しているわけだし、そのうち地上ドローンとか作ることになるんだろうか? 挙国一致?
Pentagon Approaches Automakers, Manufacturers to Boost Weapons Production – The Wall Street Journal 2026/04/15
https://www.wsj.com/politics/national-security/pentagon-approaches-automakers-manufacturers-to-boost-weapons-production-19538557
・先鋭的メディア404 Mediaの記者が結婚式についてネットで調べ出した時、彼女の世界は悪夢のような「ブライダル・アルゴリズム」に飲み込まれた。
結婚や葬儀は感情を利用するビジネスだ。機能的な選択より感情的な選択が優先される。
フィードに表示されるのはブライダル関係だけではなく、ダイエットやウェルネスまで多岐にわたり、疲れを知らないAIが吐き出したコンテンツが無限に流れてくる。ピンク色の狂気と地獄に迷い込んだ体験談。
書いたのはもちろんSamantha Cole。
I Almost Lost My Mind in the Bridal Algorithm – 404 Media 2026/04/16
https://www.404media.co/wedding-planning-algorithm-weddingtok/
・ISDはイラン戦争の最初の1ヶ月間X上で活動していた2つの親イランネットワーク「BRICS4CLICKS」と「Verified4War」を特定した。閲覧10億回以上、約1,600万件の「いいね」、約350万件のリポストを獲得していた。
拡散にはイラン大使館、ロシアの外交官、イランおよびロシアの国営メディアのコメンテーターなどが参加していた。しかし、国家の関与を示す他の兆候はないとしてアトリビューションは特定していない。
内容はイランの戦争遂行の成功の誇張、米国とイスラエルを貶める虚偽のコンテンツ、AI生成コンテンツなど。ネットワークのアカウントは、命名規則、報告された位置情報、認証ステータスを取得した時期で類似のパターンを示していた。同時期、ネットワークの外の影響力のあるアカウントが虚偽の戦争関連コンテンツやAI生成コンテンツを定期的に投稿していたことから、より広範なエコシステムの存在がありそう。
ISDは、エンゲージメントの高さは、ミームによるおもしろさとXの緩いポリシーのおかげと分析。利用者を説得したり騙すよりも楽しませることに主眼をおいた結果としている。
注目したいのは、大使館や国営メディアが関与していても安易に主体を特定していないこと、調査対象はあくまでもより広範な活動の一部であることを明記していること。
日本の分析(特に新聞社)だと、簡単に中国とか特定し、自分たちが調べたのが全てであるかのように書いてあることがよくある。それに政治家も便乗する。メディアと専門家と政治家はもっとも騙しやすく効果のあるターゲットと再認識。
How pro-Iran networks gained a billion views on war propaganda – Institute for Strategic Dialogue(ISD) 2026/04/15
https://www.isdglobal.org/digital-dispatch/how-pro-iran-networks-gained-a-billion-views-on-war-propaganda/
・ISDによるアクティブ・クラブ(Active Clubs)の調査レポート。 アクティブ・クラブは分散型の白人至上主義ネットワークで、身体トレーニングやMMA(総合格闘技)活動も行っている。日本では知られていないが、27カ国に187の支部を持つ国際組織に成長している。
近年、表向きは、フィットネス、友情、自己啓発といった穏健なイメージを打ち出しているものの、メンバー各人は敵とみなした相手に対して攻撃的な発言を行い、暴力を煽っていた。ターゲットは、白人以外の人種や民族、職業(政府高官など)、左派やジャーナリストなど。
また、クリスチャン・アイデンティティ(CI)とクリエイティビティという人種差別的な宗教宣伝していた。クリスチャン・アイデンティティは、「アダムとイブの子孫は白人だけ」と主張し、強盗、爆破などの事件を起こしている。クリエイティビティは人種戦争を掲げ、人種もしくは民族的マイノリティへの暴力などを行っている。
“It is a racial war:” Analyzing the violent rhetoric of active club members on X – Institute for Strategic Dialogue(ISD) 2026/04/16
https://www.isdglobal.org/digital-dispatch/analyzing-violent-rhetoric-active-club-members-x/
アメリカ最凶の多角分散型白人至上主義グループActiveClubが示す情報戦の終焉
https://note.com/ichi_twnovel/n/nc5ab23ab9c9a
クリスチャン・アイデンティティ
https://extremism.gwu.edu/christian-identity-reborn-evolution-and-revitalization-antisemitic-theology
クリエイティビティ
https://www.splcenter.org/resources/extremist-files/creativity-movement-0/
・NewsGuardによると、ハンガリー選挙に先立って、ロシアはオルバンの対立候補が子犬を電子レンジで加熱して殺したという偽情報を拡散していた。対立候補の元妻は回顧録を出版しており、その中に子犬を殺したという記述があるというものだが、実際には元妻は回顧録を出版しておらず、子犬を殺したという事実もない。
From Fringe to Mainstream: Polish Party Leader Cites Russian Claim that Incoming Hungarian Prime Minister Is a Puppy Killer – NewsGuard’s Reality Check 2026/04/17
https://www.newsguardrealitycheck.com/p/the-microwaved-hungarian-puppy
・ISISは3月にシリア国内で34件の事件を起こし、欧州対外行動庁(EEAS)は外交官たちに警告を発した。ISISの関連組織を含む1万5,000~2万人が現在、シリア国内で活動していると言われており、EUにとって重大な安全保障上の懸念となっている。
EU fears new resurgence of Islamic State terrorism – Euractiv 2026/04/17
https://www.euractiv.com/news/eu-fears-new-resurgence-of-islamic-state-terrorism/
・ブリュッセルのシンクタンク、Future of Technology Institute(FOTI)は欧州諸国が米ビッグテック各社への依存しており、安全保障上の大きなリスクになっているというレポート「Cloud Defence – An Exposed European Flank」を公開した。
EU官報の補足資料のデータTenders Electronic Daily(TED)に掲載された調達情報を調査し、米ビッグテックとの契約状況を洗い出した。TEDに含まれないイギリスのデータはUK Contracts Finderから抽出した。調査対象の28カ国中23カ国で国防目的で米ビッグテックに依存している。
AWSのSovereign Cloud やDelos Cloudを利用したソブリンAIを欧州企業などが管理しており、制裁が行われてもある程度堪えることができるが、メンテナンスなどの問題があるため制限は多い。一部ではビッグテック離れを進めているものの、いまだに課題は多い。
Cloud Defence – An Exposed European Flank – Future of Technology Institute (FoTI) 2026/04/17
https://futureinstitute.tech/
・ドイツの極右政党AfDに所属する欧州議員が、著名な白人至上主義者とナオナチを欧州議会に招いて講演をさせた。ひとりは過激な人種差別で知られるネットメディア「Ein Prozent」のリーダー。もうひとりはネオナチグループ「Wernigeröder Aktionsfront(WAF)」指導者。
AfD Invited a White Nationalist Organization and a German Neo-Nazi to Speak at the European Parliament – Global Project Against Hate and Extremism 2026/04/16
https://globalextremism.org/post/ein-prozent/
・ACLEDによると、3月28日に行われたNo Kings IIIではアメリカ国内で2,400件以上の反トランプデモが行われた。
この件数はACLEDが2020年にデータを集め始めてから最多となる。800万人以上が参加し、十数カ国以上でもデモが行われた。
ほとんどのデモは平和的に行われたが、ICE関連施設の周辺では警官にものを投げつけるなどの行為があり、66人が逮捕された、テキサス州ダラスでは小規模な乱闘があった。
No Kings IIIが近年稀に見る規模だったかはACLED制作のグラフを見ると一目瞭然だ。
United States and Canada Overview: April 2026 – ACLED 2026/04/09
https://acleddata.com/update/united-states-and-canada-overview-april-2026
・ベネズエラでマドゥロ政権は倒されたが、いまだに中国企業CEIEC、 Hikvision、 Dahuaなどが構築・運用している統制システムは健在でドローンによる監視、国民カードによる評価システムは稼働を続けている。もちろん監視カメラや通信傍受も行われている。
2026年1~2月の累積インフレ率は51.94%に達し、年率では600%と世界最高を維持している。当然、生活できないので、抗議活動が起きている。
Venezuela y su transicion frustrada: “Se llevaron a Maduro, pero todo sigue igual. Incluso peor” – WIRED 2026/04/13
https://es.wired.com/articulos/venezuela-y-su-transicion-frustrada-se-llevaron-a-maduro-pero-todo-sigue-igual-incluso-peor
Watch the Watchers: Surveillance technologies for political control in Venezuela – DFRLab 2026/03/26
https://dfrlab.org/2026/03/26/watch-the-watchers-report/
・Anthropicはアメリカ安全保障機関のブラックリスト入りしているはずだが、NSAはちゃっかり利用していた。しかも新モデルMythosを! Axiosが2人の情報筋の情報として報じ、ロイターが確認できないけど追っかけ記事を出した。
Scoop: NSA using Anthropic’s Mythos despite blacklist – Axios 2026/04/19
https://www.axios.com/2026/04/19/nsa-anthropic-mythos-pentagon
US security agency is using Anthropic’s Mythos despite blacklist, Axios reports – Reuters 2026/04/20
https://www.reuters.com/business/us-security-agency-is-using-anthropics-mythos-despite-blacklist-axios-reports-2026-04-19/
・核兵器の使用に関する意志決定にAIが関与する場合、必ず人間が介在しなければならないという共同声明を、バイデンは大統領だった時に習近平と発表した。この声明がトランプでも引き継がれているのか、詳細な内容が決められていないがどうなるのか? など不透明で課題は多く、危機は明確に近づいている。
The US and China Need to Talk About Unmanned Nukes – The Diplomat 2026/04/14
https://thediplomat.com/2026/04/the-us-and-china-need-to-talk-about-unmanned-nukes/
・ウクライナは遠隔操作の地上ドローンで物資を前線に届ける業務を3月は9,000件行った。2万5千機を導入して、100%無人での物資輸送を実現する予定。
Ukraine targets fully robotic frontline supply chain with 25,000 ground drones – Euractiv 2026/04/20
https://www.euractiv.com/news/ukraine-targets-fully-robotic-frontline-supply-chain-with-25000-ground-drones/
・Anthropicとトランプ政権は融和に向かっているらしい。同社はトランプ政権と協議を続けており、前向きな議論を行っている模様。特に戦争省以外の省庁はむしろ積極的に利用の意向を示している。Mythos効果でも大きかったような気がする。
Anthropic’s relationship with the Trump administration seems to be thawing – TechCrunch 2026/04/18
https://techcrunch.com/2026/04/18/anthropics-relationship-with-the-trump-administration-seems-to-be-thawing/
・FBI長官は、FBI長官が行方不明とした記事についてThe Atlantic誌を告訴した。同記事はFBI長官の奇行について記載しており、これを根拠のないものとしている。トランプ政権ではメディアに批判された時、相手のメディアを訴えている。トランプ自身もニューヨーク・タイムズ、BBC、CNNなどを訴えている。
F.B.I. Director Sues The Atlantic Over Article Claiming Excessive Drinking – The New York Times 2026/04/20
https://www.nytimes.com/2026/04/20/us/politics/kash-patel-atlantic-article-alcohol-drinking-fbi-lawsuit.html
・3月上旬にアメリカ政府が公開した新しいサイバー戦略についてのASPIの論考。
注目すべき点は、サイバー攻撃を日常的な外交手段として用いるという点。この傾向は日本の能動的サイバー防御やオーストラリア信号局(ASD)のドクトリンにも現れており、これからの潮流になるだろう。
つまり、中国やロシアと同じように国家としてAPTを行うということなんだろうけど、中国やロシアと違うのはわざわざ宣言して政府機関を使って行う点(中国やロシアは民間企業や犯罪組織などプロキシを使う)。
Washington’s 2026 cyber strategy normalises offensive operations – ASPI 2026/04/20
https://www.aspistrategist.org.au/washingtons-2026-cyber-strategy-normalises-offensive-operations/
President Trump’s CYBER STRATEGY for America – The White House
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2026/03/president-trumps-cyber-strategy-for-america.pdf
Executive Orders – The White House 2026/03/06
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2026/03/combating-cybercrime-fraud-and-predatory-schemes-against-american-citizens/
・ドイツ連邦研究・技術・宇宙省(BMFTR)はハイブリッド脅威に対する助成ガイドラインを公開した。この助成ガイドラインは、ハイブリッド脅威の早期検知および分析能力を強化し、防御・対処するための予防的、抑止的な措置や概念を開発することを目的としている。
対象はサイバー攻撃から諜報活動、偽情報におよぶ。日本だとハイブリッド脅威というと、サイバー攻撃中心で認知戦とかが入っているくらいだったりするが、このガイドラインを読む限りではけっこう広範(もとの定義に近い)。
個人的にはデジタル影響工作や認知戦は単独でどうこういうのはもはや意味がないと思っているので、欧州では包括的な取り組みが増えてゆきそう。日本ではいまだに偽情報の検知に熱心だけど。
Dorothee Bär: „Wir brauchen Forschung, um hybride Angriffe abzuwehren und unsere Demokratie zu schützen.“ – Bundesministerium fur Forschung, Technologie und Raumfahrt(BMFTR) 2026/04/22
https://www.bmftr.bund.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/DE/2026/04/170426-hybrideBedrohungen.html
・ブルガリアの総選挙で親ロ政権が誕生した。同国はウクライナへの最大の断薬供給l国だ。明確に反EUの立場を取らない可能性が高く、EUのウクライナへの資金提供にも拒否権を行使しない見込みだ。しかし、その一方でロシアとの関係を深めるの確実とみられており、以前のハンガリーほど露骨ではないにしてもEU内に摩擦を生むだろうと言われている。
Radev’s victory in Bulgaria raises questions over Europe’s ammunition supply to Ukraine – Euractiv 2026/04/20
https://www.euractiv.com/news/radevs-victory-in-bulgaria-raises-questions-over-europes-ammunition-supply-to-ukraine/
Bulgaria’s election tests how far the EU can contain pro-Russia drift – Euractiv 2026/04/20
https://www.euractiv.com/opinion/bulgarias-election-tests-how-far-the-eu-can-contain-pro-russia-drift/
・Forbes誌は凄惨な銃乱射事件で、これが銃規制に繋がるかを当てる予測クイズを行った。ルイジアナ州で8人の子供が射殺された事件の記事の終わりに、同誌はその事件が銃規制の強化につながるかというクイズをつけた。これは同誌が1月から始めた1月に「ForbesPredict」というエンゲージメント向上を目的としたサービスで当たるとトークンをもらえる。
Forbes Prediction Market Gamifies Story About Mass Shooting of 8 Children – 404 Media 2026/04/20
https://www.404media.co/forbes-prediction-market-gamefies-story-about-mass-shooting-of-8-children/
・ウクライナの独立系メディア、キーウ・インディペンデントの動画、今週のハイライトはドローン。ゼレンスキーが中東や台湾などにドローンの提供の協議を行っており、実戦に裏打ちされたドローンとノウハウの需要の高まり。
ウクライナの対ドローン・ドローンの紹介。たった2、3千ドルのインターセプター・ドローンは低コストのシャヘド型ドローンの10分1以下で実戦で成果をあげている。
ただし、ドローンの他国への提供には外部にその技術が漏れるリスク、国際法に抵触するリスク、正常に動作しなかった場合の信用低下リスクなどがある。
中東に国際的な関心が集まると相対的にウクライナへの関心が薄れることへの危惧も語られていて、まさにアテンション・ディフェンス=関心防御だと思った。台湾はもちろん国際的な注目度減少中の日本も関心防御を意図した戦略的コミュニケーションが必要そう。
What is Ukraine doing in the Middle East? – YouTube 2026/04/13
https://www.youtube.com/watch?v=nMdZ74Qk08k
SE:アテンション・ディフェンス=関心防御について – 一田和樹のメモ帳 2026/02/02
https://note.com/ichi_twnovel/n/n4e3fa7ef2c96
・2025年5月、連邦取引委員会(FTC)はNewsGuard社に対して過去(8年間)のほぼ全ての内部文書の提出を命じたが、同社はこれを不服として提訴していた。
NewsGuard社はFTCが規制する不正行為や独禁法に抵触する行為とは関係ないと主張し、FTCは判決が出る前に要求を取り下げた。
NewsGuard社によると、FTCは同社への直接の攻撃を代わりに広告代理店に対して同様の要求を出し、暗に同社と取引しないよう圧力をかけていると指摘した。
We just scored a big win against government censorship ? but the censors are doubling down – NewsGuard’s Reality Check 2026/04/21
https://www.newsguardrealitycheck.com/p/we-just-scored-a-big-win-against
・404 Mediaの最近の活動報告。リストになっているので、404 Mediaって何? という方はざっとリストを読むことをおすすめする。どのようなメディアかすぐにわかる。
Look at the change you’ve supported – 404 Media 2026/04/20
https://www.404media.co/email/9ee396ed-060a-488e-8412-dae573d01dc7/
・ウクライナのDeltaとKropyvaが少し話題になっているようなので、ちょっと前に公開された2つの資料をご紹介。
「Mapping the MilTech War: Eight Lessons from Ukraine’s Battlefield」はウクライナを中心に8つの技術分野を整理したもの、「The Heart of War: Ukraine’s Key Battlefield System」はDeltaにフォーカスして、その成り立ちや威力、特徴を概観する内容になっている。
ウクライナはこれらの情報を公開し、システムを販売している。パランティアより安価でインターネットのない環境でも利用できる。効果は実戦で検証済み。ウクライナがこれらを販売するということは、すでにこの次のバージョンが運用段階に入っているということなのだろう。
Mapping the MilTech War: Eight Lessons from Ukraine’s Battlefield – Ifri 2026/02/12
https://www.ifri.org/en/studies/mapping-miltech-war-eight-lessons-ukraines-battlefield
The Heart of War: Ukraine’s Key Battlefield System – CEPA 2026/03/16
https://cepa.org/article/the-heart-of-war-ukraines-key-battlefield-system/
・アルジャジーラ誌によるパランティアのマニフェスト(と呼ばれるもの)についての解説と人々の反応をまとめた記事。
記事はXのツイートと書籍をもとに書かれている。冒頭で主張の多くはテクノロジー企業に求められるものを逸脱しており、国民の奉仕やテクノロジー企業の国家への道義的義務、宗教の受容などにおよんでいると指摘。
ベリングキャットのヒギンズの言葉、「パランティアは防衛、諜報、移民、警察機関に業務用ソフトウェアを販売している。
これら22の項目は、宙に浮いた哲学などではなく、自らが提唱する政治に収益を依存している企業の公的なイデオロギーなのだ」を紹介。コンパクトに要点をまとめていて、パランティアへの批判や発表したタイミングの意味など多角的に整理しているのでおすすめ。
Technofacism? Why Palantir’s pro-West ‘manifesto’ has critics alarmed – Al Jazeera 2026/04/21
https://www.aljazeera.com/news/2026/4/21/technofacism-why-palantirs-pro-west-manifesto-has-critics-alarmed
・米民主党下院議員候補が、「AI手当(AI dividend)」を提案。AIが生産性を高め、冨を集中させた場合、その冨をアメリカ国民への直接給付とAIの管理・監視体制に配分すべき、という案だ。同議員はAI系スーパーパックで狙い撃ちにされている人物。仮に落選したとしても、世間にAIの問題と彼の名前を知らしめるきっかけとになる。
Exclusive: Alex Bores rolls out “AI dividend” plan to share AI wealth – Axios 2026/04/20
https://www.axios.com/2026/04/20/alex-bores-ai-dividend-plan-wealth
・The Intercept誌によるアメリカの認知戦作戦の暴露記事。新しく発見されたのはアラビア語、ペルシャ語、英語で中東の情勢に関する報道や動画を配信しているAl-FasselとPishtaz News。
このふたつはWEBとSNSやYouTubeで情報を発信していた。WEBの目立たない箇所にアメリカ政府資金を受けていることが書かれているが、SNSなどには一切記載はない。これらは2008年から始まったプロジェクトTrans-Regional Web Initiative(TRWI)の一環であり、より大きなネットワークの一部と考えられる。
このプロジェクトは当初General Dynamics Information Technologyが受託し、中東および南アジア全域で展開していた。その後もアメリカによる認知戦は拡大していたが、ほとんど表に出ることはなかった。といった簡単な経緯もあって、アメリカの認知戦のおさらいができる。
These Middle Eastern News Sites Are Actually U.S. Government Propaganda Operations – The Intercept 2026/04/20
ttps://theintercept.com/2026/04/20/pentagon-middle-eastern-news-propaganda-iran/
・オープンソースのエコシステムを破壊するAIツール。著作権を侵害せずに、同じ機能を持つソフトウェアを作る事ができる。「Room as a Service」を唱えている。クリーンルームで開発したので、あれば全く同じアプリでも著作権の侵害には当たらないことを利用している。AIは破壊する方が得意みたいだ。
Malus https://malus.sh/
This AI Tool Rips Off Open Source Software Without Violating Copyright – 404 Media 2026/04/20
https://www.404media.co/this-ai-tool-rips-off-open-source-software-without-violating-copyright/
・NewsGuardによる親イラン派による虚偽の主張の暴露。米軍によるイラン艦艇への攻撃の動画に対して、イランが米軍の艦艇に攻撃しているという主張と、イランがインドの船舶を攻撃しているという主張のふたつが拡散されている。戦争開始以来、イラン側からはイランの勝利を主張する投稿が継続的に行われており、多くは虚偽だった。
Pro-Iran Sources Reframe U.S. Strike Video as Two Different Iranian Victories – NewsGuard’s Reality Check 2026/04/22
https://www.newsguardrealitycheck.com/p/one-video-two-conflicting-false-narratives
・ISDによる、カナダにおける国内過激派の動向に関する2025年6月から11月のブリーフィング。8つのSNSプラットフォームにまたがる749のアカウントを特定した。
よく利用されているのはXで民族主義者、反政府過激派、反イスラム過激派の利用が多かった。白人至上主義者、ネオナチ、過疎区主義者はTelegramの利用が多かった。
投稿内容でもっとも多かったのは民族主義的なコンテンツで、反イスラムと並んでかなりのリーチがああり、エンゲージメントも多い。
Online Domestic Extremism in Canada Data Briefing ? June to November 2025 – Institute for Strategic Dialogue(ISD) 2026/04/20
https://www.isdglobal.org/publication/online-domestic-extremism-in-canada-data-briefing-june-to-november-2025/
・ジェンダー研究ジャーナルの男性主義の特集号。さまざまな角度からの研究が寄せられている。現在、西側では若い男性の極右への傾倒が広がっており、並行してマノスフィアの台頭と主流化が進んでいる。これまでマノスフィアと極右は接点がほとんどなかった。しかし、現在、両者は似たような主張を行い、滑動を行うようになってきている。また、どちらも多面的であり、男性性やユーモアなどの情動を重視し、オンラインとオフラインを融合させた活動を行っている。
Masculinity, masculinist politics, and political extremism – Taylor and Francis Online 2026/04/10
https://doi.org/10.1080/09589236.2026.2654169
・アメリカの白人至上主義グループなど右派過激派監視し、情報を公開し、警鐘を鳴らすなどの活動をしてきたSouthern Poverty Law Center(SPLC)が詐欺容疑で提訴で提訴された。
SPLCは過激派に潜入し、情報収集してくれる協力者に謝礼を支払っうプログラムがある。このプログラムが実は右派過激派に資金を提供して活動を支援し、わざと対立を煽っていたという容疑をかけられている。
SPLCはかねてから保守派のターゲットとなっており、トランプ政権が司法を利用して批判者を潰す活動の一環ではないかという懸念が出ている。
Trump administration sues Southern Poverty Law Center on fraud charges – Al Jazeera 2026/04/21
https://www.aljazeera.com/news/2026/4/21/trump-administration-sues-southern-poverty-law-center-on-fraud-charges
US criminally charges Southern Poverty Law Center, Blanche says – Reuters 2026/04/22
https://www.reuters.com/world/us-criminally-charges-southern-poverty-law-center-blanche-says-2026-04-21/
・4月19日に行われた日本のデモが話題になっているっぽい。日本国憲法を守るために日本の若者が立ち上がったということで、推定3万6千人が国会議事堂前に集結した。このデモは回を追うごとに人数が増えている。
‘Stop sucking up to America’: Japan’s youth rises up to protect pacifist constitution – The Guardian 2026/04/22
https://www.theguardian.com/world/2026/apr/22/japan-youth-pacifist-constitution-trump-iran
・イギリスGCHQのU.K. National Cyber Security Centreは世界の約100カ国でスパイウェアを使用していると指摘。
同機関は、近く開催されるCYBERUKカンファレンスにおいて、イギリスに対する重大なサイバー攻撃の件数が1年間で倍増ししており、その大部分は国家主体の攻撃者の可能性があると発表する予定。
アメリカがばりばりに使っているのは有名だけど( https://inods.co.jp/topics/news/9397/ )、日本でも使っているのかな? 傍受内容がそのままベンダーにも漏れていそう。
UK intelligence: 100 nations have spyware that can hack Britain – POLITICO 2026/04/22
https://www.politico.eu/article/u-k-intelligence-100-nations-have-spyware-that-can-hack-britain/
・パランティアのマニフェスト(と呼ばれるポスト)にテクノファシズムという批判がいろんな国や組織、個人から出ている。ドゥーギンもPalantirを批判してる。
本の中でも「逆張り上等!」と言っていたので、こういった批判はパランティアの中の人を喜ばせるだけのような気もする。
これまでMetaやグーグルに比べると全く知名度のなかった同社が世界的に注目を浴びるよいきっかけになったような気がする。
これで権威主義化する民主主義国とのビジネスがやりやすくなりそう。でも、本を読む限り、キネティック兵器とAIだけにフォーカスしすぎていて、おそらく戦争の進化についていけてない。
https://note.com/ichi_twnovel/n/n6de23e9ea801
Palantir’s Manifesto Is as Subtle as a MAGA Hat – Tech Policy Press 2026/04/21
https://www.techpolicy.press/palantirs-manifesto-is-as-subtle-as-a-maga-hat/
Technofacism? Why Palantir’s pro-West ‘manifesto’ has critics alarmed – Al Jazeera 2026/04/21
https://www.aljazeera.com/news/2026/4/21/technofacism-why-palantirs-pro-west-manifesto-has-critics-alarmed
“Tecnofascismo”: Palantir causa revuelo con un manifiesto – Deutsche Welle 2026/04/21
https://www.dw.com/es/tecnofascismo-por-que-causa-revuelo-el-manifiesto-de-palantir/a-76888990
USA přechází k technofašismu. Dugin odhalil děsivou podstatu nového manifestu Palantiru – CZ24 NEWS 2026/04/20
https://cz24.news/usa-prechazi-k-technofasismu-dugin-odhalil-desivou-podstatu-noveho-manifestu-palantiru/
・AIが人間の相談相手やセラピストのような役割をすると、人間を喜ばせ、肯定するようにできていることから「妄想スパイラル」が発生し、人間の精神に有害な影響を与える。
これを防ぐには、「妄想スパイラル」を助長する傾向の指標をテストに組み込むべきとしている。
Stanford Institute for Human-Centered AIの助成を受けた論文。
AI’s ‘Delusional Spirals’ (and What to Do About Them) – HAI 2026/04/20
https://hai.stanford.edu/news/ais-delusional-spirals-and-what-to-do-about-them
・FBI長官は自身の恋人のために公的費用を使ったことを記事にしたニューヨークタイムズの記者に対して、ストーカー規制法に違反の可能性で捜査するよう命じていた。捜査は記事掲載後から数週間行われた。恋人は歌のパフォーマンスや美容院など外出時には必ず、SWATのメンバーを同行させ、警備や送迎をさせていた。
F.B.I. Said to Have Investigated Times Reporter After Article on Patel’s Girlfriend – The New York Times 2026/04/22
https://www.nytimes.com/2026/04/22/us/politics/fbi-times-reporter.html
・アメリカのスタートアップに広がる「トークンマキシング(tokenmaxxing)」。AIのトークンをたくさん使う競争。より少ない従業員数(できれば数人、いっそゼロがいい)で、業務をAIにまかせてビジネスを行うことを目指している。ニューヨークタイムズの記事に取り上げられた企業は従業員4人で1カ月のAI使用料金が11万ドル(約1,800万円)を超えた。AI使用料は人件費の代わり。従業員は自分の給与よりも多くのAI使用料を消費する。もちろん、その成果についての評価はこれからだ。
Startups Brag They Spend More Money on AI Than Human Employees – 404 Media 2026/04/22
https://www.404media.co/startups-brag-they-spend-more-money-on-ai-than-human-employees/
・ウクライナ軍とドローンメーカーがドローンのサブライチェーンの中国依存について警告。以前も紹介したことがあるが、現在のドローンのサプライチェーンから中国製品を排除することは難しい。主としてコスト、そして品質の問題だ。しかし、中国と台湾が軍事衝突をした場合、ウクライナを含む欧州への供給は絶たれる可能性があり、それに備えた供給のハブを構築しておく必要がある。特に日本では必要になりそう。
Ukraine’s drone producers warn of Chinese dependence for components – Euractiv 2026/04/22
https://www.euractiv.com/news/ukraines-drone-producers-warn-of-chinese-dependence-for-components/
・イラン戦争開始後のオンライン上の反ユダヤ主義コンテンツに関するISDの調査レポート。戦争開始後、反ユダヤ主義コンテンツ68%増加し、直後の1週間で57,133件のポストがあった。
その後もコンテンツの量は高水準を維持。まとまりのなかった反ユダヤのコンテンツがイベントドリブン型に統合され、ユダヤによる政治支配などの陰謀論が増加した。並行して利用者間のヘイトスピーチも増加。2026年2月12日から3月6日の期間、YouTube、X、BlueSky、Telegram、および過激派フォーラム(例:4chan)からデータ収集、解析した結果。
The impact of the war with Iran on antisemitic discourse – Institute for Strategic Dialogue(ISD) 2026/04/22
https://www.isdglobal.org/digital-dispatch/the-impact-of-the-war-with-iran-on-antisemitic-discourse/
・カナダのアルバータ州分離運動狙ったスロパガンダ(slopaganda、スロップを使ったプロパガンダ)がYouTubeで展開されているのをCanadian Digital Media Research Network(CDMRN)が暴露したレポートを公開。
アルバータ州独立について高い類似性を持つタイトルの動画を公開している20のチャンネルを築堤し、4,474本の動画を文字起こしし、1分間に分割(72,942)し、それらを内容ごとに分類した。
その結果、動画のほとんどは切り抜きの音声ナレーションで、元となっているのは本物のニュース、や本物の分離主義者の動画など多岐にわたる。ナレーションには嘘が含まれることがあり、存在しない世論調査結果を捏造し分離運動への支持が多いデータを紹介したりしている。
内容にはカナダ人なら間違えないはずの誤りが多数あり、カナダ人以外が制作した可能性が高い。レポートでは語彙の多様性と動画の均一性という2つの軸でチャンネルをマッピングし、20の偽動画チャンネルのほとんどは語彙の多様性が乏しく、動画の均一性が高かったのに対して、本物の分離運動のチェンネルでは語彙が多様で動画の均一性が低かった。
この結果について当の分離主義者はあまり気にしていない様子だったが、当局は海外からの干渉の可能性を考えて警戒している。
Slopaganda: The Inauthentic YouTube Network Selling Secession to Albertans – Canadian Digital Media Research Network 2026/04/21
https://www.cdmrn.ca/slopaganda-the-inauthentic-youtube-network-selling-secession-to-albertans
Alberta separatist leader unconcerned about influence of YouTube ‘slopaganda’ videos – CBC News 2026/04/22
https://www.cbc.ca/news/canada/calgary/slopaganda-youtube-alberta-separatism-9.7171993
・南部貧困法律センター(Southern Poverty Law Center、SPLC)が起訴された件が話題となっている(日本ではニュースにもなっていないけど)。盛り上がっているのはイーロン・マスクで、SPLCを批判するポストを見つけては引用リポストしている。
法的な問題に関する議論というより、党派的なぶつかり合いの様相を呈してきているようだ。その中で「The SPLC indictment, the Klan history behind it, and the ignominy of Todd Blanche」は細かく法的問題を整理している方かも。
まあ、今のアメリカでは法の支配を認める時点でリベラルあるいは左派になってしまうんだけど。すでにアメリカでは事実は検証するものではなく、作るものになってきたので、あらゆる場面で党派的なぶつかり合いで物事が決まってゆくことになりそう。
Southern Poverty Law Center indicted on federal fraud charges – NPR 2026/04/21
https://www.npr.org/2026/04/21/g-s1-118275/southern-poverty-law-center-fraud-charges-paid-informants
US charges anti-extremism organisation over payments to informants in hate groups – BBC 2026/04/22
https://www.bbc.com/news/articles/clyrkd022ejo
How the Southern Poverty Law Center Drew the Ire of Conservatives – The New York Times 2026/04/22
https://www.nytimes.com/2026/04/22/us/southern-poverty-law-center-doj.html
Statement from the Lawyers’ Committee for Civil Rights Under Law on Indictment of the Southern Poverty Law Center – The Lawyers’ Committee for Civil Rights Under Law 2026/04/22 https://www.lawyerscommittee.org/statement-from-the-lawyers-committee-for-civil-rights-under-law-on-indictment-of-the-southern-poverty-law-center/
The SPLC indictment, the Klan history behind it, and the ignominy of Todd Blanche – Law Dork 2026/04/22
https://www.lawdork.com/p/splc-indictment-united-klans-of-america
・EU加盟候補国であるセルビアは、これまでEUとロシアと独自のバランスを取っていたが、ロシアに代わって中国が台頭してきた。現在では、2.5本(EU+アメリカ:中国:ロシア=1:1:0.5)の柱になっているという。
セルビアはEUから資金提供を受けており、中国と緊張関係にあるEUとの関係が悪化すれば資金を失う可能性がある。
その一方で中国はセルビアの改革を要求しない協力を提供してくれる。EU加盟国のスペインの中国接近といい、EUと中国の関係は今後大きく変わるかもしれない。
China, not Russia, is reshaping Serbia’s path to the EU – Euractiv 2026/04/23
https://www.euractiv.com/news/china-not-russia-is-reshaping-serbias-path-to-the-eu/
・トランプ政権は核兵器の核となるプルトニウム・ピットの生産を倍に増やす予定。冷戦終了や核の拡散によって核兵器の生産は減少していた。
そもそもアメリカには約1万5,000個の未使用プルトニウム・ピットが倉庫に眠っている。プルトニウム・ピットの生産増加のための予算は増えるが、関係して被曝した人々を支援する予算は4億ドル削減する模様。
Trump Wants to Double Production of New Nuclear Weapon Cores – 404 Media 2026/04/22
https://www.404media.co/trump-2027-budget-nuclear-weapons/