Metaの2024年第4四半期脅威レポートが意味するもの

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MetaはSNSプラットフォームの中でも歴史的にデジタル影響工作などへの脅威に積極的に取り組み、それを脅威レポートとして公開してきた。その記録は偽・誤情報やデジタル影響工作の実態を知るうえでの貴重な資料となっている。しかし、その貴重な資料も終わる時が来たようだ。

Metaの2024年第4四半期脅威レポートは空っぽだった。脅威レポートの体裁は取っているものの、アトリビューションがあいまいで、おそらく実際に対処した脅威の一部しか公開していない。過去のアトリビューションでは具体的な個人名や組織名をあげることが多かったが、今回はすべてそれを避けている。

Metaはいくつかの理由でインドの行う活動を不記載としてきたが、今回のレポートではとりあげている。しかし、アトリビューションをあいまいにしたことで問題を避けた形になっている。

レポートの表紙には担当者の名前が記載されるのが常だが、その人数はこれまでよりも少なく、しかも脅威インテリジェンスの専門家の名前が消えている

Metaは脅威対策チームを縮小し、レポートは簡素化された、と考えた方がよさそうだ。また、その簡素化の方向は政治的である可能性が高い。政治的に取り上げない方がよいものは不掲載とし、取り上げた方がよいものは掲載するという方針だ。

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この記事を書いた人

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
プロフィール https://ichida-kazuki.com
ニューズウィーク日本版コラム https://www.newsweekjapan.jp/ichida/
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