SNS介入を2つの尺度で整理した論文

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A dual typology of social media interventions and deterrence mechanisms against misinformation」( https://misinforeview.hks.harvard.edu/article/a-dual-typology-of-social-media-interventions-and-deterrence-mechanisms-against-misinformation/ )は、SNSへの介入を、プラットフォームの介入手段と抑止メカニズムの2つの尺度で分類することを提案した論文である。

それぞれの尺度は下記のようなものとなっている。

・プラットフォームの介入手段
 削除:コンテンツやアカウントの削除や一時停止
 情報提供:コンテンツに関する情報、背景、警告などを利用者に提供
 削減:拡散の抑止コンテンツのリーチや可視性を制限
 複合:複数の介入手段を単一の戦略で適用。
 マルチモーダル:コンテンツ、アカウント、コミュニティなど複数のレベルに対して行う包括的な抑止策。

・抑止メカニズム
 ハード:即時的強制的な抑止
 ソフト:説得による抑止
 状況型:制限による抑止
 統合型:単一の対象(コンテンツ、アカウント)に対して制限と説得を併用。
 ミックス:2つ以上の抑止策を混合。

この他に認知性(利用者が見た時に視認できる程度)もある。
表にすると下記のようになる。

論文では「複合」介入による「統合型」抑止の例として、2020年に当時のTwitter社が行った介入をあげている。特定の投稿に対して警告ラベルを投稿に付し、引用やリツイート機能を無効化した。他の例としてはRedditの「隔離」がある。問題のあるコミュニティを「隔離」すると、停止や削除はされないが、利用する場合は警告ページを経由でアクセスすることになり、検索結果には表示されなくなる。

「マルチモーダル」介入による「ミックス」抑止は、複数の介入によって情報環境全体あるいは利用者の耐性を強化することを実現する。対象は、コンテンツ、アカウント、コミュニティ、ネットワーク、場合によってはSNSの外にもおよぶ。包括的なモデレーションとして位置づけられている。

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この記事を書いた人

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
プロフィール https://ichida-kazuki.com
ニューズウィーク日本版コラム https://www.newsweekjapan.jp/ichida/
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