PSYCHO-PASSの世界に突入したトランプ政権

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トランプは2025年9月25日、国家安全保障大統領覚書7号(NATIONAL SECURITY PRESIDENTIAL MEMORANDUM/NSPM-7)に署名した。国家安全保障大統領覚書は大統領令と異なり、強力で機密扱いとなることが多いものだ。過去にはNSAに国内の通信傍受を許可したものなどがあった。

Countering Domestic Terrorism and Organized Political Violence
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/09/countering-domestic-terrorism-and-organized-political-violence/

今回は国内のテロや政治的暴力に焦点をあて、その予防を目的とした内容になっている。具体的には、反米主義、反資本主義、反キリスト教および移民、人種、性別に関して過激な主張(移民受け入れ、人種差別撲滅、LBGTQ+などを指す)や、伝統的なアメリカの家族、宗教、道徳に関する価値観への敵意が対象となっている。一般的にはリベラルあるいは左派と呼ばれる人々の主張とほぼ同じであるため、左翼をターゲットとした抑圧と指摘するメディアもある。

Trump signs memo targeting ‘domestic terrorism’ amid fears of crackdown on the left
https://www.theguardian.com/us-news/2025/sep/25/trump-presidential-memorandum-political-violence

また、アメリカ自由人権協会(ACLU)は批判者などへの弾圧や脅迫に他ならないと述べている。

CLU Statement on the Trump Administration’s Memorandum Targeting Political Opponents
https://www.aclu.org/press-releases/aclu-statement-on-the-trump-administrations-memorandum-targeting-political-opponents

上記のような傾向を持つものを潜在犯として、政府の対テロ組織によって狩り出すことを目的としている。まるでアニメPSYCHO-PASS、あるいはフィリップ・K・ディックの描いた近未来SFの世界だ。潜在犯の検知、特定の具体的な内容はまだわからないが、SNSでの発言や通信傍受、さらにFlockのシステムを利用した総合的な監視からリベラル係数あるいは反トランプ係数の高い者をあぶり出すことになりそうだ。

当然ながらこうした締め付けは激しい反発を呼ぶ。米国内への軍の派遣など国内の分断を煽るように見える一連の行動は、意図的に「管理可能な緊急事態」を作りだし、そのうえで「緊急事態」を宣言し、権力を大統領に集中させ、次の大統領選も行わないつもりなのかと勘ぐりたくなるほど荒唐無稽だ。

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この記事を書いた人

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
プロフィール https://ichida-kazuki.com
ニューズウィーク日本版コラム https://www.newsweekjapan.jp/ichida/
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