INODS UNVEIL ピックアップ 2026年3月20日~3月26日

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2026年3月20日~3月26日にピックアップした54件の情報をまとめました。

目次

2026年3月20日~3月26日にピックアップした情報の傾向

・アメリカが異なる統治形態に独裁していることが民主主義指数であるV-Demで示された。同盟国であるイギリスとともに独裁化に大きくシフトし、本格的な独裁国家になる可能性も出て来た。アメリカ国内では民主党との対立による予算執行の一部停止やイラン戦争の専横などその傾向が強くなってきている。

・パランティアMaven Smart System(MSS)の米軍基幹システム化やビッグテック中心の「大統領科学技術諮問委員会」(President’s Council of Advisors on Science and Technology)設置など、ビッグテックのオリガリヒ化が進む。

・その一方でアメリカ市民の反発は強まっており、訴訟や抗議活動などがより多く、より激しくなってきている。それがパランティアに代表される監視システムの導入を加速させ、さらなる市民の反発を招く。

・アメリカのこうした変化は同盟国にも影響を与え、統治体制の変化を加速させる危険がある。

・EUは各国内でのポピュリズムや極右などの台頭、親露政権のハンガリーによる妨害などによって迅速に意志決定を行い、実行することが難しくなっている

・不安定な国際情勢を反映し、AIの規制緩和と兵器化が進行している。第3のオフセット戦略である「迅速な意志決定と早い作戦展開」には不確実性が伴うため、民間人の犠牲や作戦の失敗を伴う可能性がある。それを許容するのは第3のオフセット戦略を選択した者の責任だが、AIの技術的問題にすり替えられおり(AIロンダリング)、AIの技術に焦点を当てた議論になっている(アジェンダ設定能力の喪失)

個別情報

・米移民・関税執行局(ICE)は抗議活動などへの参加者を拘束し、DNAを採取していた。重大な犯罪による逮捕者のDNA採取は合法であるものの、ICEの場合逮捕自体の合法性がグレーな場合もある。
記事ではICEの活動を監視していた人物が逮捕され、DNAを採取された事例が紹介されていた。逮捕自体が合法ではなかった場合、DNAの救済措置は明確ではない。

ICE officers are taking DNA samples from protesters they’ve arrested – NPR 2026/03/19
https://www.npr.org/2026/03/18/nx-s1-5739257/ice-officers-dna-protesters-database

・揺れるEU。ウクライナへの900億ユーロの融資はハンガリーの強硬な反対で実行されておらず、近く行われるハンガリーの選挙結果を待つしかない状況。
スロベニアの選挙でイスラエルの民間諜報機関が干渉した件はEUで問題となっておりマクロンはハイブリッド脅威へに対策強化を訴えている。
これらの問題についてのEUの議論は遅々として進まず、ベルギー首相は、EUがベルギー化(意志決定に時間がかかる揶揄)していると冗談を言った。

EU pins hopes on Hungary election to unlock €90bn Ukraine loan – Euractiv 2026/03/19
https://www.euractiv.com/news/eu-pins-hopes-on-hungary-election-to-unlock-e90bn-ukraine-loan/

Slovenia spy scandal revives EU push for stronger anti-interference response – Euractiv 2026/03/19
https://www.euractiv.com/news/slovenia-spy-scandal-revives-eu-push-for-stronger-anti-interference-response/

Bart De Wever jokes EU is becoming more like Belgium – Euractiv 2026/03/19
https://www.euractiv.com/news/bart-de-wever-jokes-eu-is-becoming-more-like-belgium/

・ISDによるカナダにおける白人至上主義者の最新動向の分析。
Active Clubに代表されるWhite Nationalism 3.0を中心に主要グループや活動内容、過激化の動向などをまとめている。
白人至上主義者というと日本とはあまり関係がないように思うかもしれないが、白人至上主義者、極右、反移民、反LGBTQ+、反ワクチン、陰謀論などは重複し、時に連携している。日本でも白人至上主義者以外はすでに問題になっている以上、こうしたグループの動向を知るうえで今回の資料は重要と言える。

‘Tribe and train’: Examining Canada’s new model of white supremacist mobilization – Institute for Strategic Dialogue(ISD) 2026/03/17
https://www.isdglobal.org/digital-dispatch/tribe-and-train-examining-canadas-new-model-of-white-supremacist-mobilization/

・米司法省はイランの情報保安省(MOIS)の4つのドメインを停止した。これらは言論の弾圧や心理作戦、マルウェア攻撃に用いられていた。

Justice Department Disrupts Iranian Cyber Enabled Psychological Operations – U.S. Department of Justice 2026/03/19
https://www.justice.gov/opa/pr/justice-department-disrupts-iranian-cyber-enabled-psychological-operations

・現在、アメリカ政府とEUはコンテンツ規制で対立している。EUはデジタルサービス法(DSA)などをかざして規制を推進し、アメリカ政府は「言論の自由」をかざしてEUを言論弾圧などと批判している。
しばらく前は、アメリカのビッグテックもコンテンツを規制していたが、第2次トランプ政権発足と前後して、コンテンツ規制を大幅に緩和した。一連の流れを概観できる記事。

Inside the Trump administration’s campaign to counter content bans in Europe – The Washington Post 2026/03/20
https://www.washingtonpost.com/technology/2026/03/20/trump-eu-dsa-censorship/

・中国は2年以内に世界最大の科学研究公的資金提供国になる、というFrontiers in Science and Innovation Policy (FSIP)、のレポートがNature Indexに掲載された。アメリカは第二次世界大戦以降、研究開発投資で世界をリードしてきた。現在、トランプ政権による経費削減の煽りを受けて研究開発費用は伸びていない。
一方、中国は基礎研究から応用研究まで積極的に投資を行っており、その結果2年後と予測されている。
けっこう、インパクトの大きなことなのだけど、日本では話題にならなそう。

China could be the world’s biggest public funder of science within two years – Nature 2026/03/19
https://www.nature.com/articles/d41586-026-00618-5

・ロシアがアルメニアの選挙をターゲットにしてNewsGuardになりすまして虚偽の情報を拡散。NewsGuardがなりすまされたことは2025年8月モルドバの選挙でもあった。

Russia Impersonates NewsGuard to Target Armenia – NewsGuard’s Reality Check 2026/03/26
https://www.newsguardrealitycheck.com/p/russia-impersonates-newsguard-to

・アメリカの連邦判事は、この数カ月の間で7,000件以上(ICE)のICEが拘束した人々を解放してきた。全米の司法省(DOJ)事務所は多数の裁判所からの要請に対応しなければいけない事態に陥っており、手が回らずに優先度の低いものは諦めることも増えている。

Trump administration waves the white flag in some ICE cases – POLITICO 2026/03/20
https://www.politico.com/news/2026/03/20/ice-detention-cases-doj-judges-00837850

・ロイターの報道によると、米戦争省はパランティアのMaven Smart System(MSS)を、あらゆる領域において敵を検知、抑止、制圧するために必要な最新の基幹システムとして使用する。
MSSは標的を特定する指揮統制ソフトウェアプラットフォームですでに実戦で使用されており、今回のイラン戦争でも使用され、数千回標的を特定した。
また、米軍内で広く利用されている。ただし、現在はAnthropic社のClaudeを組み込んでいるため、他のモデルに変更する必要がある。

Exclusive: Pentagon to adopt Palantir AI as core US military system, memo says – Reuters 2026/03/21
https://www.reuters.com/technology/pentagon-adopt-palantir-ai-as-core-us-military-system-memo-says-2026-03-20/

・米戦争長官のヘグセスは発表のたびに「より大規模な攻撃」といった表現を使用し、イランへの攻撃が激しくなっていることを伝えてきた。しかし、米中央軍が公開したデータでは攻撃の数は減少していた。
また、イランの防空網を破壊し、間もなく制空権を奪い取るという発言は現実を反映していない。また、そこまで圧倒しているわりにはホルムズ海峡をいまだに封鎖されたままだ。大本営発表が続いているようだ。

Hegseth has repeatedly said the US is upping the frequency of its Iran strikes. The data tells a different story – CNN 2026/03/21
https://edition.cnn.com/2026/03/20/politics/us-strikes-iran-frequency-data

・イーロン・マスクがTwitter買収時に、株価を下げる発言をし、意図的に株価を操作したとして訴えられていた訴訟で、推定25億ドル(約4,000億円)の支払いを命じられた。
買収に合意した後でボットの比率が当初の話よりも多いと言い出し、買収をしぶったものの、契約の履行を求められ、買収を行った。この間に株価が下がった。
イーロン・マスクが意図的に株価を下げようとしたと訴えられていた。

Elon Musk misled Twitter shareholders, US jury finds – DW 2026/03/21
https://www.dw.com/en/elon-musk-misled-twitter-shareholders-us-jury-finds/a-76462448

・アメリカの空港では給与の支払いが止まったため、TSA職員が出勤しなかったり、退職したりしており、保安要員不足で支障が出ている。
トランプは移民関税執行局(ICE)を空港に派遣すると言いだし、民主党の反発を買っている。第2次トランプ政権でICEはその活動の場を広げ、ミネソタ州では2人の市民を射殺するなどの問題が発生している。

Trump Threatens to Put ICE Agents in Airports Over Funding Impasse – U.S. News 2026/03/21
https://www.usnews.com/news/top-news/articles/2026-03-21/trump-threatens-to-put-ice-agents-in-airports-over-funding-impasse

・親露首相オルバンのいる ハンガリーはロシアにとって貴重な存在だ。しかし、今度の選挙でのオルバンは分が悪い。不利な状況を打開すべくロシア対外情報局(SVR)はさまざまな手段を計画した。きわめつけはオルバン暗殺未遂事件の演出。

To tilt Hungarian election, Russians proposed staging assassination attempt – The Washington Post 2026/03/21
https://www.washingtonpost.com/world/2026/03/21/hungary-election-interference-russia-orban/

・イギリスでも始まっていた学校での焚書活動。グレーター・マンチェスターの中学校で図書の検閲が行われ、インセルや女性嫌悪者に関する書籍やLGBTQ+に関する本などが書架から消えた。

School book banning escalates in the UK as Greater Manchester secondary school censors scores of books – Index on Censorship 2026/03/20
https://www.indexoncensorship.org/2026/03/school-book-banning-escalates-in-the-uk-as-greater-manchester-secondary-school-censors-scores-of-books/

・NewsGuardが検知したハンガリー選挙に向けたTikTok上での干渉。34の匿名アカウントがAI生成動画でオルバンを推し、対立候補を貶めようとしていた。また、TikTokは過去4カ月間に「ハンガリーの政治的議論を狙った活動」を行った4つのネットワークを削除した。親露派の活動が激化している。XやTelegram上でも活動が確認された。

Influence Campaign on TikTok Uses AI Videos to Boost Hungary’s Orban Ahead of Crucial Elections – NewsGuard’s Reality Check 2026/03/21
https://www.newsguardrealitycheck.com/p/russian-influence-campaign-uses-ai-tiktok-videos-to-boost-hungarys-viktor-orban

・イスラエルとアメリカがイランに攻撃を開始直後、すぐにイランはSNSでの情報戦を切り替えた。アメリカやイギリスなどの国内の対立を煽ることに焦点あてていた活動が、イラン最高指導者の暗殺や学校への爆撃を非難する内容に変化した。すでにアメリカ国内にある同様の戦争に対する不満を増幅しているという。

Iran social media strategy pivots to information war amid US-Israel attack – The Guardian 2026/03/22
https://www.theguardian.com/world/2026/mar/22/iran-social-media-strategy-information-war-us-israel-attack

・ドローンによって様変わりした戦場についてのNPRの論考。
イランのドローンはアメリカの兵器によって迎撃されてはいるものの、その価格は約100倍の開きがあり、コストと生産量から非対称の戦いになっている。
アメリカとイスラエルは高空では戦闘機で優位に立っているが、低空ではドローンによってイランが優位に立っている。
イランのシャヘド型ドローンはスーダンの内戦にも使われている他、ロシアでは独自に進化させたゲランが使われている。アメリカもシャヘドをリバースエンジニアリングして開発したLUCASを実戦投入した。
アメリカの問題は国内の専門家は以前から安価な量産型ドローンが戦場を変えることを知っていたにもかかわらず、その対策を準備してこなかったことだ。これはドローンだけの問題ではなく、構造的な問題であり、アメリカが常に新しい脅威に対して後手に回ることを示唆している。
使われない知識やインテリジェンスは、政治的勝利に結びつけることができない軍事的優位と同じく無駄が多い(抑止には使える)。記事の最後にあるドローン戦の先駆者となったウクライナからの教訓、「ドローン戦は残酷で膠着した消耗戦になる」というのがつらい。

Cheap drones are reshaping modern warfare ? and catching the U.S. off guard – NPR 2026/03/18
https://www.npr.org/2026/03/18/nx-s1-5749441/drones-iran-us-ukraine-epic-fury

・トランプは批判者や味方ではない者に対して米財務省を使った制裁措置を課している。米財務省には海外の団体に対して制裁できる37のプログラムを持っており、個人を対象にも発動できる。重大なリスクがあると判断できればいかなる国の国民に対しても行使可能だ。対象者はSpecially Designated Nationalsというリストに加えられる。
以前、紹介したICC職員もその制裁を課され、アメリカのクレジットカード、Amazon、グーグルなどの米サービスも使用不可となった。
ブラジルでボルソナに有罪判決を申し渡した判事とその妻(!?)に対して制裁を課した。また、アメリカ当局がカリブ海で人々を殺したことを批判したコロンビア大統領も制裁対象となった。
制裁対象となった場合、米国内の資産凍結、米金融サービスの制限、米企業との取引の禁止(Amazonやグーグルが使えない)となる。
トランプを批判すると日本にいても制裁対象になるかも。

How Trump’s Treasury is shifting sanctions to punish his critics and reward friends – NPR 2026/03/17
https://www.npr.org/2026/03/17/nx-s1-5675211/treasury-sanctions-trump-foreign-punish

・移民関税執行局(ICE)を空港に派遣することの続報では、アメリカ時間の23日からアトランタの国際空港にICEが派遣されるという。
国土安全保障省(DHS)の予算が認められる可能性は低く。トランプはさらに選挙制度の改革法案を民主党が指示しなければ合意しなちしている。
アメリカ大統領がアメリカそのものを人質に民主党と交渉するって、自分の身体に手榴弾をまいて、「言うことをきかなければ全員死ぬぞ」って言ってるようなものか。

ICE agents expected at Atlanta airport as TSA employees call out nationwide during partial government shutdown – CNN 2026/03/22
https://edition.cnn.com/us/live-news/tsa-wait-times-government-shutdown-03-22-26

・国空軍士官学校はキリスト教ナショナリズムをもとづいて、DEIを解体し、カリキュラムを見直している。エリカ・カークを同校の監督委員に迎えた。
米軍は「憲法に基づく超党派的な奉仕」は神の正義を実現する聖戦を実行する組織に変わるようだ。イラン戦争をアルマゲドンと呼んだり、神の神聖な計画の一部と言っていたりするので本格的にそうなるっぽい。

Air Force Academy Prepares Ideological Overhaul, With Erika Kirk Bringing “Bold Christian Faith” – The Independent 202/03/19
https://theintercept.com/2026/03/19/air-force-academy-charlie-erika-kirk/

・オンライン詐欺がいまや国家の枠組みを揺るがす巨大産業へ。
「東南アジアでは、その収益が一部の国でGDPの半分に迫る規模に達し、数十万人が人身売買によって強制労働に従事させられている」
「オンライン詐欺グループが拠点としている国のGDPには、現地の支配層が有する事業が含まれており、それらの事業を使ってオンライン詐欺グループの売上をロンダリングしたり、便宜を図ってもらうために売上の一部を提供したりしている」「中国政府はオンライン詐欺の拡大を利用して東南アジア諸国に対する影響力を高め、諜報活動や影響力行使を行い、同地域における安全保障上の囲い込みを進めようとしている」
「オンライン詐欺グループのターゲットがアメリカ人になったのも中国政府の意図と言われている。ほとんどのグループは中国系なので、当初は中国人をターゲットにしていた。しかし、中国当局が中国人への詐欺行為の規制を強化したことから、グループはターゲットをアメリカ人に変更した。この中国の規制は選択的規制と呼ばれており、犯罪グループのターゲットをコントロールする方法のひとつになっている」
「アフリカ、中東、南アジア、バヌアツなど太平洋諸島など拠点は世界に広がっている。さらに、欧州の犯罪組織との提携も行い、国際的なネットワークを構築している」

オンライン詐欺は「産業」になった…GDPの半分を占める闇経済と国家への浸透 – Newsweek日本版 2026/03/23
https://www.newsweekjapan.jp/ichida/2026/03/post-68.php

・ドイツとフランスの選挙。ドイツの西ドイツでは極右政党AfDが躍進。フランスで注目されていた国民連合(RN)は主要都市で伸びなかった。ヨーロッパ各国で軍備が強化されている中、極右の台頭は気になる。

Election in Rhineland-Palatinate: AfD achieves record result in western Germany – Euractiv 2026/03/22
https://www.euronews.com/2026/03/22/election-in-rhineland-palatinate-afd-achieves-record-result-in-western-germany

Socialist Emmanuel Gregoire elected Paris mayor, as National Rally fails to take key cities – The Guardian 2026/03/23
https://www.theguardian.com/world/2026/mar/22/paris-mayoral-race-socialist-emmanuel-gregoire-projected-to-win

・ハンガリーはEUの機密情報もNATOの機密情報もロシアに流すだろう。ハンガリーがEUの非公開会議の情報をロシアに漏らしたことが報道されているが、同様にNATOの情報も漏らしていても不思議ではない。一部のNATO関係者は驚くことではないと語る。今度の選挙の結果次第でハンガリーの扱いはまた変わりそう。

NATO ‘unsurprised’ over report Hungarian leaks to Russia – Euractiv 2026/03/23 https://www.euractiv.com/news/nato-unsurprised-over-report-hungarian-leaks-to-russia/

・アメリカで話題になったDOGEメンバーの証言映像は差し止められていたが、公開が許可された。映像はDOGEメンバーがDEIなどについて理解していない様子やChatGPTを使って「黒人」や「同性愛者」といった言葉を含む契約を解除していたことなどがわかるものとなっている。Instagramで公開されていたURLを付した。

Judge Allows DOGE Deposition Videos Back Online – 404 Media 2026/03/23
https://www.404media.co/judge-allows-doge-deposition-videos-back-online/

映像の一部(Instagram) https://www.instagram.com/reel/DVtOiqJjcu4/

・移民関税執行局(ICE)が全米各地の空港に派遣されつつある。議会で予算が承認されないため空港職員に給与が支払われず、欠勤や退職が相次ぎ空港では待ち行列が長くなる一方。トランプは予算を承認しないならICEを派遣すると発言し、その通りにし始めた。現在14の空港でICEが確認されている。すでにICEによる逮捕が1件確認されているが、この件について問合せを受けたICEは「ICEを空港に配備する前に逮捕を行った」(?)と回答。空港でICEが旅行者を射殺するのも時間の問題かもしれない。アメリカに足を踏み入れてはいけない。

ICE officers deployed to some airports as TSA callouts worsen – CNN 2026/03/23
https://edition.cnn.com/us/live-news/tsa-wait-times-ice-airports-03-23-26

Federal immigration agents filmed making airport arrests as Trump calls in ICE to ease security line delays – TechCrunch 2026/03/23
https://techcrunch.com/2026/03/23/federal-immigration-agents-filmed-making-airport-arrests-as-trump-calls-in-ice-to-ease-security-line-delays/

・技術的優位性によって軍事力を補完するオフセット戦略。第1のオフセット戦略は核兵器、第2は精密誘導兵器とステルス技術、第3は迅速な意志決定と早い作戦展開。

パランティアのMaven Smart System(MSS)はその代表。
イラン戦争での民間人の被害で多くの報道はAIを問題にするが、本質的には「迅速な意志決定と早い作戦展開」を選択した人間の責任であり、より安全なアルゴリズムやAI利用可否をアジェンダにすることは問題を矮小化するAIロンダリングである。これに限らず、AIを持ち出すことでアジェンダを技術的テーマにしてしまう傾向がある。
AIが人間社会の意志決定を行うようになる前に、人間が自らのアジェンダ設定能力を見直す必要がある。AIは自分自身にアジェンダ設定能力があることに気づくだろう。

SE:AIロンダリングによって奪われるアジェンダ設定能力 – 一田和樹のメモ帳 2026/03/24
https://note.com/ichi_twnovel/n/nd701ff1b7947?app_launch=false

・「ドイツ連邦軍(Bundeswehr)は、人工衛星を国家安全保障の中核インフラと位置付け、2030年までに約350億ユーロを宇宙関連能力を含む強化に投じる計画を表明した」「ドイツは現在、宇宙における軍事について、以下の分野に重心を移しつつある。低軌道偵察衛星、小型衛星コンステレーション(小型衛星群の連携による、軍事システム構築)、商業衛星の軍事活用」

ドイツの宇宙安全保障から見る「企業国家」のファンタズマ – INODS UNVEIL 2026/03/24
https://inods.co.jp/topics/news/9092/

・シカゴでServe Roboticsの配達ロボットがバス停のガラス張りの壁に激突してぶち破る事故が起きた。シカゴではUber Eatsと提携したServe Roboticsのロボットが配達を行っており、歩道を走る配達ロボットに反対する人々がロボットの排除を請願している最中にバス停激突事故が起きた。

Delivery Robot Drives Through Bus Stop Shelter, Shattering Glass Everywhere – 404 Media 2026/03/24
https://www.404media.co/delivery-robot-drives-through-bus-stop-sh-shattering-glass-everywhere/

・米ニューメキシコ州の子供の安全を巡る裁判でMetaが敗訴。Metaが自社プラットフォームの安全性について消費者を欺き、子どもたちを危険にさらしたと認定し、Metaに3億7500万ドルの支払いを命じた。
この訴訟では州の捜査官が14歳未満の子供になりすまして囮捜査を行うなどの方法でMetaのサービスの問題を暴いてきた。

New Mexico just handed Meta its first courtroom defeat over child safety, and the rest of the country is watching – TechCrunch 2026/03/24
https://techcrunch.com/2026/03/24/new-mexico-just-handed-meta-its-first-courtroom-defeat-over-child-safety-and-the-rest-of-the-country-is-watching/

・VOAの記者たちとPen America、国境なき記者団は米政府を提訴した。
米国国際メディア庁(USAGM)が、イラン国内での反政府抗議活動に関するインタビュー、映像、報道を検閲し、VOAのペルシャ語放送からイラン政権に反対する特定の要素に関する報道を排除したとしている。VOAが米政府を訴えるのって末期的。

VOA journalists sue, accusing US government of forcing censorship, propaganda – THE HILL 2026/03/23
https://thehill.com/homenews/media/5796635-voice-of-america-propaganda-lawsuit/

・許可無く勝手に他人のZOOMウェビナーや会議を録画し、再配信しているサービスWebinarTVが問題となっている。WebinarTVはネット上のZOOMのURLをスキャンし、そのウェビナーやミーティングを録画し、勝手に編集して公開。時には主宰者にWebinarTVのサービスを売り込んだりすることもある。もちろん日本で行われているウェビナーやミーティングも勝手に再配信されている可能性があるので注意が必要だ。内容によっては深刻なプライバシー侵害や機密情報の漏洩につながりかねない。

This Company Is Secretly Turning Your Zoom Meetings into AI Podcasts – 404 Media 2026/03/24
https://www.404media.co/this-company-is-secretly-turning-your-zoom-calls-into-ai-podcasts/

・イギリスで髄膜炎の感染が広まっていることは日本でも報道されている。髄膜炎に関連した偽情報がイギリスで広まっている。内容は過去に広まったデマに似通っており、政府の演習がもとで感染が広まった、ロックダウンが行われる、コロナワクチンが原因などの内容のものがある。

U.K. Meningitis Outbreak Gets the Health Hoax Treatment – NewsGuard’s Reality Check 2026/03/24
https://www.newsguardrealitycheck.com/p/uk-meningitis-outbreak-gets-the-health

・イラン戦争勃発から25日の間でNewsGuardは50の虚偽情報を特定した。その92%は親イラン的内容であり、イランのイスラエルに対するミサイル攻撃などの規模や影響を誇張したり、イスラエルの主要人物をイランがすでに殺したといった内容だった。虚偽を信じさせるというよりは読んだ時にいただかせる感情を狙っているという。戦争開始1週間は古い映像を利用したものが多かったが、その後AI生成のものに変わった。さらに最近では本物の映像をAI生成だと非難する虚偽の主張も発見されている。

25 Days, 50 Lies: Iran’s Disinformation War – NewsGuard’s Reality Check 2026/03/25
https://www.newsguardrealitycheck.com/p/25-days-50-lies-irans-disinformation

・トランプは3月初旬にラテンアメリカの保守派指導者を招いたサミットに先だって、エクアドルの農村にある麻薬密売組織の拠点を米軍とエクアドル軍が爆撃と放火で数日間かけて破壊した動画を公開した。しかし、ニューヨークタイムズなどの現地調査で、実際にはただの農場だったことがわかった。軍はそこが麻薬密売グループ「Comandos de la Frontera」の拠点と説明したが、同グループは否定している。

The U.S. Said It Helped Bomb a Drug Camp. It Was a Dairy Farm. – The New York Times 2026/03/24
https://www.nytimes.com/2026/03/24/world/americas/us-ecuador-drug-camp-bombing-dairy-farm.html

・アメリカの劣化はひどいが、もっとひどいのは他の国も道連れにして沼に沈んでゆくところ。関税戦争やイラン戦争はその最たるものだけど、学問の自由も同様だったとは!
世界に広がる「アメリカという病」。
V-DemのAcademic Freedom Indexこのグラフは怖いくらいにひどい。このグラフを見ると、もともとアメリカは劣化が進んでいて、トランプはそれを加速したっていうのが如実に表れている(トランプが始めたのではない)。

Academic Freedom Index – https://academic-freedom-index.net/

US leads worldwide decline in academic freedom ? Report – University World News 2026/03/20
https://www.universityworldnews.com/post.php?story=20260320155848399

・ドイツ首相はウクライナへの長距離ミサイルのTaurusはもはや不要になった、と発言。その後、ウクライナの兵器技術はすでに急速に向上しており、Taurusよりも効果的な兵器をすでに有している、あえてTaurusを提供する必要はなく、いまウクライナに必要なのは資金である、という趣旨だったと補足した。

Merz says Ukraine no longer needs German Taurus missiles – Euractiv 2026/03/25
https://www.euractiv.com/news/merz-says-ukraine-no-longer-needs-german-taurus-missiles/

・ロサンゼルスで当時未成年だった原告をSNS中毒にした損害賠償が認められ、MetaとYouTubeに600万ドル(約9億円)を支払いが命じられた。
他に進んでいる多数の裁判への影響がありそう。
ただし、一方でトランプ政権は明確なビッグテックシフトを進めており、新設するPresident’s Council of Advisors on Science and TechnologyにはMetaやグーグルが名前を連ねている。今後の展開に注意が必要。

California jury finds Meta, YouTube liable in social media addiction trial – BBC 2026/03/26
https://www.bbc.com/news/articles/c747x7gz249o

・トランプは新設する「大統領科学技術諮問委員会」(President’s Council of Advisors on Science and Technology)にビッグテック経営者を中心とした13名を任命した。ロビイスト活動の成果とも言える委員会となっており、AIの規制緩和などが加速する見込みで、Metaやグーグルが敗訴した裁判の行方への影響なども気になる。パランティアの名前がないのが気になる。

Trump Taps Zuckerberg, Huang And Ellison For White House AI Panel – Forbes 2026/03/25
https://www.forbes.com/sites/saradorn/2026/03/25/trump-taps-zuckerberg-huang-and-ellison-for-white-house-ai-panel-report-says/

・ビッグテック批判者は、SNSの責任を認めたロサンゼルスの判決を「Big Tobacco moment」と呼んで勢いづいている。ビッグテックに対する圧力団体やSNS規制を議会にはたきかけているNPOなどはこぞって画期的な判決と賞賛し、今後さらに多くの訴訟でビッグテックが敗訴し、規制が強化されることを期待している。
かつてタバコの害は長期間にわたって認められなかったようにビッグテックの害も認められてこなかった。その状況が変わるきっかけになると信じている。

Big Tech critics hail ‘Big Tobacco moment’ in landmark social media verdict – CNN 2026/03/25
https://edition.cnn.com/2026/03/25/media/meta-google-social-media-verdict-advocates

・「大手AI企業」がケンタッキーの農家に数億円で農場の一部をデータセンター用地として買収しようとして断られた。データセンターを建設することで水不足と土壌汚染が起きることを懸念してのことだ。アメリカではデータセンターは地元に水不足と土壌汚染、そして電気料金の高騰を招く災厄と考えられている。しかし、「大手AI企業」は買収を諦めてはいないようだ。米政府が介入するような事態にならないとよいのだが。

Kentucky woman rejects $26M offer to turn her farm into a data center – TechCrunch 2026/03/24
https://techcrunch.com/2026/03/24/kentucky-woman-rejects-26-million-offer-to-turn-her-farm-into-a-data-center/

・あまり紹介されることのないインドにおけるサイバー・インテリジェンス事情。
いくつかの事例が紹介されている。過去2カ月間で19件のスパイ事件では、インスタグラムやDiscordなどでターゲットにつながる人物を発見し、勧誘、洗脳して協力させる。あるいは技術知識がある貧しい若者を勧誘し、スマホアプリで交通や警備の拠点などをGPS情報つきで撮影させていた。
中には対テロ部隊の技術者を、ISISがインスタグラムでハニートラップにかけた事例もあった。

I Spy: India’s evolving ‘espionage rackets’, now playing out on smartphones & social media – ThePrint 2026/03/25
https://theprint.in/india/i-spy-indias-evolving-espionage-rackets-now-playing-out-on-smartphones-social-media/2887292/

・昨年、アメリカの行政管理予算局(OMB)が公開した、政府機関のAI購入に関する覚書「Increasing Public Trust in Artificial Intelligence Through Unbiased AI Principles」(略称:Public Trust AI Memo)についての記事。
政府調達のAIに求める要件を記しており、そこにはバイアスの排除、真実性の担保、利用に関する透明性の確保、利用者がベンダに問題をフィードバックできる仕組みの用意などが含まれており、これらを政府導入のAIがすべて満たせば理想的となる。
しかし、実際には覚書以前の契約には当てはまらないことや、サプライチェーンで利用されるサードパーティ製品までは含まれないことなどの問題もある。

Increasing Public Trust in Artificial Intelligence Through Unbiased AI Principles – 2025/12/11
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2025/12/M-26-04-Increasing-Public-Trust-in-Artificial-Intelligence-Through-Unbiased-AI-Principles-1.pdf

White House Takes Aim at Biased AI in Government, Leaves Key Gaps – Lawfare 2026/03/25
https://www.lawfaremedia.org/article/white-house-takes-aim-at-biased-ai-in-government–leaves-key-gaps

・ディズニーの失敗が語るAI生成製造作品の幻想と現実。
わずか数カ月でOpenAIはSoraをやめ、ディズニーは10億ドルの投資と今後の関わりを絶つことを決めた。ハリウッドの新時代を築くという夢を見たディズニーは、これまでの著作権にうるさい企業から利用者に自由にAI生成動画作成を解放する先進的な企業へと変わった。そして、そこから生み出された作品が次の時代を築くはずだった。
しかし、現実にはSoraとディズニーが観た夢は徹底的に悲惨な悪夢であり、両社は悪夢から覚めて幕を引くことになった。
失敗したのはOpenAIとディズニーだけではない。中国のテレビ大手TCLは「TCL Film Machine」とAI生成による映像制作スタジオを立ち上げた。制作コストを下げるというもくろみは成功したものの、作品はほとんど鑑賞されることはなかった。
得られた教訓は、AI動画生成ツールへの需要は、ポルノ、同意のない性的画像、偽情報、そして手間のかからない粗悪なコンテンツを大規模に制作するだったことだ。

Disney’s Sora Disaster Shows AI Will Not Revolutionize Hollywood – 404 Media 2026/03/25
https://www.404media.co/disneys-openai-sora-disaster-shows-ai-will-not-save-hollywood/

・拡大する予測市場は第2の証券市場になる。
予測市場大手のKalshiとPolymarketは最近女性をターゲットにした広告を展開しており、Kalshiでは女性の割合が26%まで増えた。
現在、多くの人は予測市場をギャンブルと感じているが、KalshiとPolymarketのCEOはそうではないと考えている。今後さらなる拡大が見込まれており、規制なども進むと考えられている。
トランプのSNS、Truth Socialも予測市場を立ち上げると言われており、今後SNSと予測市場が連携する可能性もある。ますます中毒性が高まりそう。さらに過去には結果を操作するために人々が参照する情報源のWEBの表示を改ざんした事例もあり、予測で儲けるために現実を改ざんする事件も増加しそう。

Kalshi and Polymarket are using influencers to lure in the 50% who don’t bet on sports gambling sites: women – The Independent 2026/03/25
https://www.independent.co.uk/news/world/americas/kalshi-polymarket-betting-sites-women-b2945722.html

・以前、ご紹介したKevin Bakerの「Kill Chain」が手を加えたバージョンがガーディアン誌に掲載された。我々がAIの技術について語ることは、すでに問題の本質を見失っている証拠なのだ。

SE:AIロンダリングによって奪われるアジェンダ設定能力 – 一田和樹のメモ帳 2026/03/24
https://note.com/ichi_twnovel/n/nd701ff1b7947

AI got the blame for the Iran school bombing. The truth is far more worrying – The Guardian 2026/03/26
https://www.theguardian.com/news/2026/mar/26/ai-got-the-blame-for-the-iran-school-bombing-the-truth-is-far-more-worrying

・Pornhubと3つのアダルトサイトがEUのDSAに定められた児童保護要件(適切な年齢認証など)を満たしていないと欧州委員会は発表した。Pornhubらは反論するチャンスを与えられる。

Pornhub and three other major porn sites fail EU age check rules – Euractiv 2026/03/26
https://www.euractiv.com/news/pornhub-and-three-other-major-porn-sites-fail-eu-age-check-rules/

・「AIサイコーシスとは、AIチャットボットを長期的に利用しているユーザーが、現実と虚構の境界線を見失ったり、妄想の拡大を起こしたりするような「現象」を示した非公式の用語だ」
「生成AIを『毎日』利用している人は、そうでない人と比較したとき、中程度以上の鬱症状を示す確率が30%高い」
「「AIチャットボットの頻繁な利用がユーザーに鬱を引き起こしたのか、あるいは鬱の傾向を持った人がヘビーユーザーになりやすかったのかは判別できていない」ことを強調している。つまり「AIで鬱になる」といった因果関係は証明されていない」
「AIチャットボットは、まったく労せずして無数の「おべっか」を何時間でも何か月でも延々と放つことができる。ただ瞬時に自動生成しているだけの回答が、ユーザーの精神の穴へ何度でも入り込み、いとも簡単に相手の妄想を広げ、さらに相手を気持ちよくしてしまうというのなら、我々人間はあまりに不利であるようにも感じられる」

AIと精神疾患の因果関係?「AIサイコーシス」の現在 – INODS UNVEIL 2026/03/26
https://inods.co.jp/topics/news/9101/

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この記事を書いた人

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
プロフィール https://ichida-kazuki.com
ニューズウィーク日本版コラム https://www.newsweekjapan.jp/ichida/
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