インフルエンサーのフォロワー数と、スポンサーコンテンツ割合や単価に関する論文
ニューヨーク大学スターン経営学部の博士課程の学生KazimierSmithの調査研究「InfluencerDynamics」が一部で話題になっている。ネットのインフルエンサーについて調査したもので、インフルエンサーがスポンサーから依頼されて作るコンテンツと、自分自身の関心などに基づいて作るコンテンツについてキャリアという側面から分析している。
多数のフォロワーを持つインフルエンサーに、多額の報酬を提供するスポンサーからのオファーが来るようになると、スポンサーのコンテンツを中心に投稿するようになり、そうでないコンテンツが減りそうな印象がある。その憶測が正しいとすれば、インフルエンサー・マーケティングの市場が拡大すると、インフルエンサー独自のコンテンツは減少することになる。
美容、サイクリング、フィットネス、食品、ライフスタイル、育児、テクノロジー、旅行の8つの分野のインフルエンサー1,369人のフォロワー数の推移など4.9年分のデータを収集し、スポンサーからインフルエンサーへの支払い情報約2万件を加えて分析している。
この調査では一定量まで独自のコンテンツは減少するものの、それ以上は減少しないことがわかった。フォロワー数の多いインフルエンサーは、より多くの独自コンテンツとスポンサー・コンテンツを投稿していた。たとえば10,000人のフォロワーを持つインフルエンサーの場合、1週間に約2.5件の独自コンテンツと0.25件のスポンサー・コンテンツを投稿する。1,000,000人のフォロワーを持つインフルエンサーだと、1週間あたり約3.5件と0.75件に増加する。
その理由は、インフルエンサーにとって、フォロワーの数はきわめて重要な資産であり、増加させるためには独自コンテンツが必要だからである。インフルエンサーがスポンサー・コンテンツを制作、投稿するのはそれが独自コンテンツの増加よりも高い利益を生む場合ということになる。
ただ、フォロワー数が増えると、フォロワー当たりの単価は減少する。たとえばフォロワー数の少ないインフルエンサーだと、支払額があまりにも少なくなるので誰も引き受けないからフォロワー数当たりの単価は高くなる。
その他、スポンサー・コンテンツに対するフォロワーの反応はSNSごとに異なるなど有益な発見がある。あくまで学生の調査研究の成果であるが、興味深いものがいろいろある。