米大統領選で親中ボット・ネットワークがロシア発の動画を拡散

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DFRLabは、米大統領選直前の2024年11月4日と5日、投稿履歴のないXアカウントがロシア発と思われる複数の動画を投稿したことをレポートした。不正な投票、破棄された投票用紙、故障した機械、死んだ有権者といった選挙に関するモチーフにした動画は、意図的に拡散された。動画はFBIや大手ニュースによって制作されたように見えるよう編集されており、FBIのロゴやCBSやMSNBCなどのロゴやグラフィックが利用されていた。ある動画には、FBI長官がラジオの取材に対して、FBIは有権者不正行為に対して準備不足で対応しきれないと語ったとディープフェイクが用いられていた。これらの動画はいずれも再生回数 7,000回には達していないが、不正に増幅された形跡がある。エンゲージメントも得ていたが、ほぼすべてがボット・ネットワークによるものだった。一連の手法は、ロシアのオペレーション・オーバーロードに類似していた。
しかし、これらで用いられたボット・ネットワークは過去には親中のプロパガンダを展開していたことが確認されており、中国のボット・ネットワークであることは確かだ。

中国のボット・ネットワークによるオペレーション・オーバーロードを模倣した不正選挙に関する偽情報の拡散は、親中ボット・ネットワークとオペレーション・オーバーロードの間に潜在的な協力関係をあることを示唆している、とDFRLabは推測している。しかし、現時点では、このキャンペーンがロシアと中国の政府によって共同で調整されているという証拠はない。

親中ボット・ネットワークがオペレーション・オーバーロードの模倣をしているという指摘は興味深いのだが、公開されているレポートの範囲ではオペレーション・オーバーロードとの関係を推測するのにはいささか飛躍している印象がある。DFRLabはこの分野におけるパイオニアだが、最近のレポートには疑義を感じさせるものが少なくない

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この記事を書いた人

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
プロフィール https://ichida-kazuki.com
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