ジョージアにおける中国の影響工作

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デジタルフォレンジック・リサーチラボ(DFRLab)は、中国がジョージア(以前グルジアと呼ばれていた)に対して長年にわたって、クロスプラットフォームの影響工作を実施していたことをレポートした。調査を行ったのはフェイスブックページ、Telegram、TikTokである。

ジョージア政府はもともとロシアに近かったが、ウクライナ侵攻によって公然とロシアと連携することが難しくなり、代わりに中国に近づいた。2023年7月には当時のジョージア首相が中国で習近平と会談し、戦略的パートナーシップを発表している。

DFRLabは2022年2月22日から2024年7月10日までのフェイスブックの投稿を調査したところ、投稿のほとんどが親政権メディアのPOSTV – Newsde、次いで、IMEDINEWSそして政府系のPeople’s Powerのフェイスブックページとなっていた。投稿活動には3つのピークがあった。

・2022年8月 米のナンシー・ペロシの訪台時期と重なっていた。前述の中国とジョージアの戦略的パートナーシップの中には「ひとつの中国」に関する項目も含まれていた。

・2023年7月 両国の戦略的パートナーシップ発表時期と重複

・2024年5月 中国系シンガポール企業がジョージアのAnaklia Deep Sea Port開発を落札した時期と重複

Telegramでは、極右、親政府、与党などの31のチャンネルの2024年7月10日以前の投稿を調査した。中国に関する投稿がもっとも多かったのはBegaNews、worldpolitikalだった。中国に関する投稿のほとんどは2022年7月下旬から8月上旬と、2024年5月中旬から6月上旬にかけて行われていた。

中国が拡散したメッセージの多くは、他のグローバルサウス国に流布しているものと同様のようだ。たとえば、中国は欧米と異なり、ジョージアの主権を尊重する大国であるという主張だ。レポートではくわしく解説していなかったが、よく言えば自国の価値観や制度を押しつけることをしないという意味である。悪く言えば、民主主義的価値観を求めることはないということになる。多くの欧米各国は民主主義的価値を毀損(人権侵害や差別など)することに批判的で、それを理由に経済制裁などが行われる。これに対して中国は、そんなことはしないという意味である。

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この記事を書いた人

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
プロフィール https://ichida-kazuki.com
ニューズウィーク日本版コラム https://www.newsweekjapan.jp/ichida/
note https://note.com/ichi_twnovel
X(旧ツイッター) https://x.com/K_Ichida

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